第四十九話
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ままなので傷口を再度開き異物を取り出さなければなりません。これがめんどくさいんです。方法は簡単ですが。
用意する物は熱湯消毒済みの刃物。
方法は、識別魔法を使い異物の場所を確認する。次に刃物でその場所まで切り裂き、手を突っ込んで抜き出す。これを麻酔無しで行なうだけです。縫合しなくても数秒あれば治せるので簡単なんですけど痛いし、臓器の触感が気持ち悪いんですよね。
「これで最後ですね」
最後の破片を取り出し一息つきます。この治療はひさしぶりなので少し時間がかかりました。幼かった頃は父さんが取り出してくれていましたから、最近は新年会などで怪我をする位で、その時はちゃんとした(?)外科医の 間はざま先生が居るのでその人に取り出してもらっていましたから。
「零樹君、今大丈夫ですか?」
「アリスさんですか、少し待って下さい」
用意してもらった和服を羽織りナイフなどの道具と下に敷いていたシートを片付ける。
「もう良いですよ」
「失礼しますね」
襖を開けてアリスさんが部屋に入って来る。
「道場の方はどうなりましたか」
「今も男子が頑張ってますよ。零樹さんが見ていた通り四月一日さんはそうそうにリタイアしてますけど残りの二人は鶴子さん相手に生き延びてますよ」
ちょうど鋭太郎の声が聞こえて来たところを考えるとそろそろレイフォンもダウンするでしょうね。フォローに入っているはずの鋭太郎がやられた以上、あっ、レイフォンの悲鳴が聞こえました。
「坊、長が呼んどるでぇ〜」
「草姉、いきなり人の部屋に入ってくるのはどうかと思うんだけど」
「もしかしてお邪魔やっ」
「千草さん、私、今の千草さんみたいな人って一番嫌いなんですよ」
かなり強力な呪符が顔すれすれに飛んでいったので草姉が顔を青くしています。
ちなみにお値段一枚数十万〜百数十万です。それだけする理由は、再利用可能で使用後は手元に転送され、威力も強力。ついでに材料がそこそこ貴重だからです。材料は世界樹から作り出した和紙に中国に生息している竜の髭から作った筆、父さんが作り出した術式に父さんの血を凝縮したもので書かれてますから。
「草姉、少し時間がかかるって言って来てくれない。10分位で行くから」
「わ、分かったわ。ほんじゃ、待ってるさかい」
草姉を見送ってからアリスさんの頭を撫でます。
「周囲から遊ばれるのが嫌だからと言っても今のはやり過ぎだと思いますよ」
「分かってはいるんですけど身体が勝手に動いてしまう以上はそういう風に振る舞うしかなくなってしまう訳で」
……つまり一種の照れ隠しという訳ですか。なら仕方ないですね。
そう判断して後ろから抱きかかえる様にして
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