暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
[9/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る。接近戦は、とどのつまり得物のリーチが長い方が勝つんだから、圧倒的に俺が不利だ。
 こうなったら、ひたすらに耐えるしかない。
 屋根の下から爆発音。俺はあのナイフ以降、なにも投影品を爆破してないから、必然的にあの爆発はシャナのものということになる。俺の耳がそれを知覚したのとほぼ同時に、空中にさながらロケットの如く飛び上がるシャナの姿が目に入った。
 強化せずとも、他人よりは視力が良いと俺は思ってはいるが、それでも空中にいるシャナを捉えるのに若干の時間を要した。
「上からか―――!」
 シャナよりも高い位置を陣取っているという油断からか、一瞬、反応が遅れる。先の俺のように屋根に飛び乗って来るだろうと予想していたのだが、まさか俺より高い位置から奇襲をしてくるとは思っていなかったからな。
 今さら避けようとしても無駄だ。こうなっては真っ向から受けて立つしかない。
 何より、シャナの攻撃を回避することによって、坂井家に与える被害は想像もつかないしな。
「くたばれぇぇ!」
 依然としてキャラ崩壊しているシャナが、これ以上ないくらい恐ろしい形相で贄殿遮那を振り落としてくる。
 神速の剣閃が、落下の慣性を加えて殆ど知覚不能な速度と化していた。
 ―――防げるのか、俺に。
 いや、防げるかじゃない。防ぐんだ。じゃなけりゃ、俺が死ぬ。
 夫婦剣を交差して構える。と同時に贄殿遮那が振り落とされた。
 相変わらず鋭く、そしてとんでもなく重い一撃が、腕から俺の全身に伝わる。
 ―――っ、魔力放出で筋力の不足を補ったセイバー並みの破壊力だな。
 腕だけでなく、脚も含めた全身でその一撃を受け止める。足下が屋根
に、ミシミシとめり込んでいくが、今は構ってられない。後で補強しておくから勘弁して欲しい。
 衝撃を緩和しながら、ゆっくりと膝を落とす。端から見れば、圧されている様に見えるだろうが、そんなことはない。
 そのまま一気に立ち上がるのと同時に、交差していた夫婦剣を振り抜く。
 脚の筋力は、腕の比じゃないからな。こうしてやれば、腕力の不足を補える。
 俺に弾き飛ばされたシャナは、そのまま空中で1回転して、屋根に着地した。
 弾き飛ばしたとはいえ、油断は出来ない。なにせ相手はあのシャナだからな。
 着地と同時に突撃してくると警戒して、夫婦剣を構えていたが、取り越し苦労で助かった。
 とにかく、状況は俺にとって最悪といえる。とは言え、こっちに移動してからの初動は奪われたが、ペースまで握られる訳にはいかないんだ。
 こうなりゃ、強引にでも肉薄して近接戦を仕掛けるしかない。なに、相手は大太刀一本しかないんだ。懐に飛び込んでしまえば、小回りの利く俺が手数で圧倒できる。
「―――今度はこっちの番だ」
 一息でシャナに接近。干将を右下から逆袈裟に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ