暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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途端、シャナが視界から消えた。
「何をするつも―――、ガッ!?」
 いや、消えた訳じゃない。
 シャナは贄殿遮那を壁から引き抜くことなく手を離し、体勢を低くして、俺のみぞおちを目掛け拳を打ってきた。
 ―――ヤバッ、なんて威力だよ!?
 フレイムヘイズ故のパワーか、その拳は俺の呼吸を一瞬止める程の威力だった。
 思わず夫婦剣を取り落としそうになるが、奥歯を噛み締め耐える。だが、衝撃でくの字に曲がった俺は、胸ぐらを掴まれそのまま背負い投げられた。
「―――ッ!」
 受け身も取れず背中から叩き付けられ、再び息を止められる。手元から力が抜けるが、綺麗に投げられた為、夫婦剣は依然手元にある。
 成る程………、やるなシャナ。
 今の背負い投げは攻撃じゃなくて、位置の入れ替えが目的か。
 これで俺は贄殿遮那から離され、シャナは大太刀を回収できる。しかも、俺は体勢を崩され起き上がるまで完全に無防備。
 寝そべる俺に大太刀を降り下ろすだけで、シャナは俺を殺せる。あの劣勢を一瞬で覆してきたか。
 無論、油断をしていなかった訳じゃない。俺はシャナと話し合いたかっただけで、戦闘力を奪おうとしなかったからな。とはいえ、こうまで簡単にやられるとは。
 ―――だが、まだ死ぬわけにはいかないな。
「―――シネ」
 もう、お前誰だよと聞きたくなる位、キャラの崩壊したシャナ。壁から引き抜いた贄殿遮那を上段に構え、真っ直ぐに俺を見据えてきている。
 ―――この際多少の損害はやむを得ないか。
 夫婦剣の残り四対が隠された場所に、一緒に入れておいた投影品のナイフを爆破する。
 『壊れた幻想』――、ようは投影品の爆破なんだが、夫婦剣を爆破すれば壁が吹き飛ぶかもしれないからな。宝具でない日用品、それも工程を大幅に省略した粗悪品なら壁は大丈夫だろう。夫婦剣を爆破できない事態に備えて、こいつも仕込んどいて正解だったな。
「なっ、なんなの!?」
 突然の爆発に狼狽えるシャナ。当然だろう、小規模とはいえ、爆発は爆発だからな。
 この機に乗じて、脚力を強化する。
「同調開始」
 強化はタイムラグなしで行使可能なのが助かった。魔力消費量が増えてるとはいえな。
 寝そべった姿勢から起き上がると同時に、強化された脚力を使って前方に跳ぶ。シャナと交替した位置関係上、俺の正面には窓があるからな。
 窓に飛び付くと同時に、窓ガラスを開け放つ。シャナのために鍵を開けておいた上に、シャナも鍵まではかけなかったみたいだから、手間取らずに済んで良かったよ。
 そのまま屋根の上までジャンプ。強化された脚力なら造作もないことだ。

 屋根の中央に立って窓側の屋根の端を見据える。
 シャナは当然、追撃してくるはずだ。こっちは夫婦剣で、あっちは大太刀だから、リーチで完全に負けてい
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