暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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はここに、先日投影しておいた五対の夫婦剣を隠しておいた。
「―――けッ!」
 武器を持たずに武装した相手と戦闘するなんて愚の骨頂。ましてや、相手は相当の戦闘技能を有している。
 丸腰で戦えるほど、俺は強くないんだ。
 五対の内で『最も投影工程を省略していない』夫婦剣を掴み取り、上段からの攻撃を受け止める。
 鋭く、そしてとても重い一撃だが脚のバネも含めて、全身を使えば受け止めれないことはない。
 ―――思った通り、サーヴァントと同等の破壊力がある。
 味方としてとても頼もしい、そして現状況で最悪の戦闘力だよ、シャナ。
「え………、嘘でしょ………?」
 シャナの口から驚愕の声が漏れる。
 足場も完全で、全く鈍りのない剣閃を防がれたからだろうか? それとも干将・莫耶に対する驚愕か?
 いや、今はどうでも良い。
 とにかく、これで形勢は逆転した。
 大太刀による一刀流のシャナと夫婦剣による二刀流の俺。その戦闘方法はほとんど対極に位置していると言って良い。
 敵よりも遠くの間合いから相手を一刀の下に切り捨てる戦い方のシャナ。
 敵の攻撃を防ぎながら接近し、手数で勝負する俺。
 これが周りに何もない平地だと、射程に乏しい俺がジリ貧だが、狭い室内だと立場が逆になる。
 その大きさ故に思うように振るう事が出来ない太刀と比べ、コンパクトな夫婦剣は平地と変わらない戦いが出来る。相手の射程の内側―――、即ち懐に飛び込む事が容易な分、この状況は俺に有利と言えよう。
「シャナ。落ち着いて、まずは状況の確認をしないか?」
 改めてシャナに問う。シャナにだってこの状況は分かる筈だ。
 だが、シャナは無言で双剣に受け止められた太刀を引いて後ろに下がり、踏み込みながら横に薙いでくる。
 ――――やり合いたくはなかったんだけどな。
 左から迫る太刀を干将で防ぎ、右の莫耶をシャナの首筋に叩き込む……、気はないので、ちゃんと寸止めをする。
 一度俺の顔を見た後、舌打ちをしたシャナは後ろにステップして、刺突を放つ。
 今度は左の莫耶で贄殿遮那の刀身を滑らせるように受け流し、干将で再び首筋に寸止め。
 あ〜あ、贄殿遮那が壁に刺さっちゃったじゃないか。
 だけど、これでシャナは次の攻撃動作の前に、刀を引き抜くという予備動作が必要になった。
 二度も寸止めをしていて言う事じゃないが、これが実戦なら、俺はシャナが刀を引き抜く前に息の根を止められる。
「それで勝ったつもり?」
「勝ったも負けたもない。俺は話し合いたいだけだ」
 不幸な誤解が招いた悲劇だからな、これは。話し合えばきっと解決出来る。
 するとシャナは不敵に笑った。
「さっきも言ったわよね。言い訳は聞きたくないって。それに贄殿遮那が使えなくても戦い方はあるのよ!」
 そう言い終えた
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