暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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に動いたのはシャナだった。シャナはいつの間にか出したコートより贄殿遮那を取りだし、構える。
「―――コロスッ!!」
 上段より降り下ろされる刃はまさに『死』その物を連想させる。

 ――――死ぬ。

 このままでは殺される。

 だが、長年の戦闘により培われた俺の戦闘技能は、脳で考えるよりも先に脊髄反射で体を後ろにステップさせた。
 シャナの足場はベッドの上という不安定な場だったため、速度を鈍らせた剣閃を俺は鼻先を掠めかけたが回避に成功する。
「待て、落ち着けシャナ! 俺にも状況が分からないんだ!」
 ステップの勢いでそのまま後退し、横薙ぎに振るわれる太刀を回避。成る程、あの長い刀身が体格に恵まれないシャナのリーチをカバーしてるのか。
 彼女の戦闘は何度か見ているが、実際に自分に刃を向けられないと分からないこともある。
 だが密室内で、よくもこう思いきった太刀捌きが出来るもんだよ。
 普通なら障害物に接触してしまいかねない状況だと、大太刀は振るい辛い。
 現に、今も贄殿遮那の剣閃は部屋の至るところに接触している。
 普通は躊躇するもんなんだけどな。

 ――――我に触れる物は全て断ち斬る。

 俺は大太刀にそう言われた気がした。無論、気のせいだろうけどな。
「白々しいわね、お前は黙って死ねば良いのよ!」
 横薙ぎの勢いでベッドから降りたシャナは、再び大太刀を上段に構え、物騒なことを口走る。
「俺だって何がなんなのか分からないんだ。まだ死ぬ訳にはいかない」
 そう言いながら一歩ずつ退くが、後退した先は壁だった。当たり前だろう。部屋の中なんだから、壁があって当然だ。
 つまり、逃げ場はもう無いという事である。
「言い訳なんて聞きたくないわ。お前はここで死ぬの……」
 眼からハイライト消えてるよ! お前そんなキャラじゃないだろ!?
 こうなったら徹底抗戦だ。なんせ、なんの考えもなくここまで退いた訳じゃないからな。
「死なない。シャナに殺される訳にはいかないし、俺を殺させるつもりもないからな」
 相手が丸腰なら、初撃を避けたときに、窓を破って脱出している。
 だが、贄殿遮那で武装している状況なら話は別だ。
 一見すると、俺は追い詰められた状況に見えるだろうが、実は一目散に窓から逃げるより安全な状況だったりする。
「そう………、なら殺してあげる」
 そう告げると、シャナはそのまま刀を降り下ろした。足場も万全。まさしく、神速の剣閃だ。当然、回避は難しい。
 だが、ここまで後退した理由は背後からの奇襲はないから。逃げるとなると必然的に敵に背中を晒してしまうからだからだ。
 そして、それだけじゃない。
「もう一度言うぞ。俺の話を聞―――」
 ―――ここには戦うための武器が用意されている。

 俺
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