暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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関係であるとはいえ、会って二日しか経っていない相手……、しかも男に裸身を晒したんだ。
 よく殺されずに済んだと思うよ。
 それでも、徒の朝の襲撃に備えて深夜にシャナが来る可能性はあるだろうから、窓は開けたままにしておいてある。
 ベッドでも寝ないことにした。というより、ベッドより床で寝る方が落ち着くしな。
 やっぱり日本人は布団だろ布団。
「まぁ、布団じゃないんだけどな……」
 来るとすれば、深夜だろうから、シャナはベッドで仮眠を取るだろう。となると、ベッドから布団は外せない。
 昨日も使用したタオルケットを引っ張り出して、俺はベッドの隣に寝転んだ。
「そう言えばシャナって、今まで寝泊まりはどうしてたんだろうな?」
 決まった場所に定住はしてなさそうだけど、今までどんな生活してきたんだろう。
 俺としては食生活が気になる所だ。
 確か、昨日も今日も昼は菓子類ばかりだったよな。
 あの調子だと朝は多分食べてない、夜も駄菓子で済ましているだろう。
 今日はまともな夕飯だったが、それは千草さんの招待があったからだ。
 夜食とか言ってスーパーで買ったのも駄菓子だけだったし。
 いや、メロンパンもだな。
 彼女のメロンパンへの情熱は並々ならぬ物がある。
 噂に聞くカレー好きの代行者の、カレーへの執着とやらに匹敵してるんじゃないだろうか?

 ―――会ったことないけどさ。

 とにかくだ、あの感じだと絶対に自炊なんてしてないだろう。
 と言うか想像出来ない。
 料理と言うものの存在を知っているかも怪しいな。
 きっと彼女を育て上げてくれた人は、料理なんてしなかったんじゃないか?
 実務的なシャナの言動は、きっと家族が影響してるんだろうし。
「シャナの家族か………」
 シャナにだって家族は居る筈だ。生まれた時から一人なんて事はないだろう。
 だけど、シャナに名前すら付けてないような家族だ。
 もしかすると番号で呼称し合っていたりしてな………。
 フレイムヘイズ第〇号、みたいな感じで。
 そんな家族だったら、食事はエネルギーの補給と認識してそうだ。

 俺の中でシャナの家族の想像が膨らむ。

 だがそれは世間一般で言う『平和な両親』ではなく、俗に言う『鬼教官』とか『鬼軍曹』とかそんな類いのものだった。
 食事も軍用レーションとか、良くてもレトルト製品だったりして………。
 いや、きっとそうだ。間違いない。
 彼女の劣悪な食生活は、きっと過酷な訓練生活の性だったんだろう。糖分が不足してるんだ。精神的な意味で。

「決めた。今度、飯でも作ってやろう」
 後、アラストールに俺の推理が正しいか聞かないとな。


 ………それから俺は、どんな料理を作ろうか考えながら眠りに着いた。


 さて
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