”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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の立案すら出来ないんだ。
とにかく、どういった物か聞いてみよう。内容を詰めていくのはそれからだ。
「連中の企んでいる事は分かって――」
「あら、平井さん?」
シャナが内容を言い始めた所で、思わぬ場所からよ声に会話を中断される。
「い゙っ!?」
ベランダの下からかけられた呑気な声は千草さんのものだった。
――俺とした事が、遠坂のうっかりが伝染ったか?
この部屋のベランダは玄関の真上に有るんだから、新聞を取りに外に出た千草に気付かれない訳がない。
時間の確認もしないといけなかったのに、朝から一戦やらかしたので完全に頭から飛んでしまっていた。
――――マズい、かなりマズい。
シャナは今、部屋のベランダに腰掛けている。
こんな光景を端から見たら、あらぬ誤解を受けることは間違いない。
まるで朝からシャナを部屋に連れ込んでるみたいじゃないか。
俺は急いでベランダから顔を出す。弁明は早い方がいい。大丈夫、相手は千草さんだ。シャナとは違って話が通じない訳がない。
「ち、違うんだ千草さん! これは………」
「おはよう。どうしたの、こんなに朝早くからそんな場所で?」
――――ハイ?
そこを質問されるとは思ってなかったよ!
普通、今はそこは気にしないだろ?
ここは「なんで平井さんがいるの」とか「士郎くん……なんてことを」とか「責任は取りなさいよ」とかだろ?
なんと言うか、どこかズレてないか?
天然にも程があるぜ、千草さん。
「え〜と、ちょっと一跳び」
訂正、この人だけじゃない。
お前もだシャナ。なんだか根本的にズレてるだろ、その返事も。
「あらあら、お転婆さんね」
会話が……成立してるよ。
俺は思わず脱力して、部屋に戻った。
なんでさ? おかしいと思うのは俺だけなのか?
いや、逆に俺がおかしいのか?
アラストールに聞いてみたいところだが、今、それが叶う筈もない。
とにかく、俺にはこの不思議時空には着いていけないよ………。
結局、その後シャナは昨晩に続いて朝食もご馳走になった。
今さらシャナを追い返す訳にもいかないし、あまりに自然な流れで有無も言えなかったのは、言うまでもない。
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