暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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が、腕は止まろうとしない。
 当たり前だろう。本気で殺しにかかった攻撃だったんだ。慣性も諸々と働いているのに、腕一本で止められる訳もない。
 だが、右腕は弾き跳ばされていて、それどころじゃない。つまり、両腕はアテに出来ないということだ。
 なら、腕でダメだったら、脚だろうが――!
 右足に力を込める。そのまま左に倒れ込む勢いで。
 すると鈍い音と共に、シャナが急に大きくなった。いや、シャナはその手の幻術を使う素振りは見せていない。と言うことは、俺の視点が低くなったのか。
 それに、俺の足が沈み込んだって感覚だった。ってことは確認するまでもないな。足が屋根を踏み抜いたんだろう。何せ、さっきから結構危ない感じだったからな。
 だがこれが幸いして、姿勢を崩したことで攻撃は止まった。シャナを殺さずに済んだんだ。
 ―――同時に俺の動きも完全に封じられたが。
「これで――、終わりよ」
 どっかで聞いたセリフだなそれ。

 そう思ったところで、強烈な衝撃と共に俺の意識は刈り取られた。



  ◇



「酷い目にあった……。一瞬、タイガー道場の門が見えたぞ……」
 意識を取り戻した俺の目の前には、相変わらず激昂したままのシャナがいる。
 何があったのか、まだ俺は生きている。どうやら殺されることだけはなかったらしい。
 ボコボコにされていないことを考えても、シャナとはいえ情けの心はあったようだ。
 それにシャナの腕が相当のものだった為か、頭に鈍痛が残っているだけだし、ダメージは残らなさそうだし、不幸中の幸いも良いとこだな。
「タイガー道場って何よ? それに、ほんとは首を飛ばしてやろうと思ったのよ。けど、アラストールに止められたから……。だから命だけは助けてあげることにするわ」

 グッジョブ! アラストール!

 あんたマジでサイコーだよ!
「だから、俺にも状況が分からないんだって。斬りかかってくる前に、話くらいは聞いてくれたって良いだろ」
「うるさいわね、さっきも言った通り聞く気はないわ」
 くそ……、完全に聞く耳を持っていないな。
 俺からK.O.とっておいて、まだすっきりしないのかよ。そもそも、話って言っても俺はなにも知らないんだが………。
 第三者の意見が欲しいよな。このままじゃラチがあかない。
「まぁ、待て。そやつの言っていることは本当だ」
 すると、願ってもないタイミングでアラストールが口を開いた。
「アラストール、あんたは何か知っているのか?」
 居るじゃないか、第三者が。何で最初に気付かなかったんだ、俺は。
「無論だ。屋根の上より降りるよう我が言ったのだ。この子も寝ぼけていたため、服を脱ぎ散らかすや布団に潜り込んで寝てしまった。不本意ではあったが、わざわざ起こすのも憚れた、それ
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