暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
断章 「激動の朝」
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に妙な疑いをこれ以上掛けられたくないので、逃げるように立ち上る。
「これ、三人分の量にしては多い気がするんだけど」
 明らかに作り過ぎだ。既に大量に用意されている夕飯だが、千草はさらにオムライスを作っている。
「良いじゃない、秘密の隠し味が入ってて美味しいわよ。それに、平井さんにはウチに良い印象を持ってもらわないと、士郎君も困るでしょ?」
 む、隠し味には興味があるな。基本、和食担当の俺としては洋食の極意なんてもんは分からない。桜が和食も出来るようになってしまってからは、無理にレパートリーを増やさず、出来るものをより美味しくがモットーだったしな。
 まぁ、実を言うと衛宮家料理担当のプライドもあって、桜から指南は受けれなかっただけだが。
 ついでに言うなら、一度、プライドを捨てて、遠坂に中華を教えて貰おうとしたことがある。そのときは、何故か桜が、先輩に料理を教えるのは私です、ってな感じで猛反対。
 士郎と一番付き合いの長いお姉ちゃんが教えるぞー、っという具合に藤ねえはどんぶり鉢を突き出してくるし。因みに、どんぶり鉢の中は世にも恐ろしいお好み焼き丼である。こいつは桜と一緒に、俺も反対。
 最後は、なんとしても俺に中華を教えようと何故か躍起になった遠坂も交えて、ちょっとしたバトルが繰り広げられた。
 結局、俺の料理教室はうやむやになって流れてしまった。角が立ちまくるから、休戦協定が結ばれたとか、結ばれてないとか。
 という訳で、アレ以来なかなかレパートリーは増えていない。食事中の会話の種として、隠し味について聞いてみるのもいいだろう。
 ということで、運ばない訳にもいかず、それ以上は料理の量について触れないことにした。
「困るって何にだよ」
 なんだか、あらぬ疑いをかけられていることに溜め息をつきつつ、千草さんの側に行く。
「またまた〜。ふふ、貫太郎さんとの事を思い出すわねぇ」
 そう言って、これまた、やけにでかいオムライスの大皿を千草さんは渡してくる。
 ふと、坂井悠二に、あきらめろ、と言われた気がした。
「……なんでさ」
 虚しい抗議をしながら、俺は皿を食卓に運搬する作業に従事した。



  ◇



 夕食の後、俺のガールフレンド………ということになっているらしい、シャナに迫る千草さんを引き剥がすのに苦労させられた。
 千草さんにシャナを送るよう指示されたが、彼女は何故か一人で先に行ってしまい、仕方がないので、とりあえず送った素振りで家に帰る事にした。
 ―――なんで先に行ったんだろな?
 その後、部屋の窓の鍵を開けてシャナを待っていたが、なかなか屋根の上から現れないので、俺は魔術の鍛練を始めていた。
 今日は来ないんじゃないか、と考えたからだ。
 やはり、昨日の出来事が原因だろう。いくら協力
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