暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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 人込みを掻き分けるついでに、腕を振りかぶっていた田中の攻撃対象を変更しておく。
「仕方ねぇな。それじゃ遠慮なく――っと!」
 すれ違い様に、ニッ、っと笑う田中。人込みから出た辺りで、池の断末魔が聞こえた気がしたけど、気のせいだな。
「吉田さんを保健室に連れて行くよ」
 吉田は輪の外で女生徒に介抱されていた。無理もない。あんな状態だったのに騒ぎに加わっていたら、逆に怖いしな。
「分かったわ、お願いね衛宮くん」
 吉田を膝枕していた女生徒から吉田を預かり、担ぎ上げる。
 おおっ、お姫様だっこ! なんて言葉が女生徒から聞こえてきた。その脇にいた女生徒達も、なにやらキャーキャー、っと声を上げている。
 何か変な事でもしたか、俺。だって横になってた吉田を背負う訳にもいかないだろ? もう一度立たせるなんて酷な事は俺には出来ないし。
 なら、横になってる体勢のまま、足と背中に手を回して抱えるしかないじゃないか。
 これでも、変な所を触らないように配慮はしてるつもりだったんだけど、女子から見たらかなり不味い所を触っちまったんだろうか。
 仮にそうだったとしても、不可抗力だよ。許して欲しいもんだ。第一、触っていたら触っていたで、吉田から何かしらのリアクションがあるだろう。一応、意識は有るみたいだし。
 マズイ事をしてしまってないかを確認しようとして、やっぱり辞めておいた。とにかく、今は吉田を保健室に連れていくのが先決だしな。

「衛宮くんって、体鍛えてたんだね。一美を軽々とだっこしてるし」
「なんだかんだで、さっきのランニングの間も平井さんについていってたわよ?」
「先生を言い負かすところとか、意外に頭脳派でもあったんだね。ちょっと格好良かったかも」
「なにアンタ。衛宮くんを狙っちゃうの?」
 キャハハ♪ と後ろで女子が盛り上がっているが、良く聞こえなかったので気にしないでおこう。
 吉田も体調不良だし、俺としても特に話す事がなかったので、終始無言で保健室に向かう。これまた坂井悠二の記憶ナビゲートだよりで。
 結局、彼女を保健室に運び終えた所で終業のチャイムがなった。


  ◇


「クラスメートと打ち解けれて良かったな」
 先程の体育教師との一件のおかげで、平井ゆかりことシャナはクラスメートから人気を集める事になった。
 どうやらあの後、女生徒がシャナの髪に櫛を通すという、心温まるイベントがあったらしい。当然、俺は保健室に行った後、他とはかなり遅れて着替えて居たので、シャナから聞いたのだが。
 まぁ特に騒動を起こす事なく、大人しくしてくれてたんなら良いんだけどな。
 俺はというと、吉田を保健室に運んだのは良かったのだが、担当がしばらく留守だったので、その間は保健室で吉田を見ていた。結局、保健室から出た時には、チ
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