暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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位だ。言うまでもなく、あかいあくまの事だが。

 念の為にもう一度言うが、シャナが小さくて可愛らしいからではない。
 残念だが俺にそういう趣味はないからな。

 シャナ(DEATHスマイルver.)を見て体育教師は何度も全力で頷く。
 ここだ、と判断した俺は付け足すように訊く。
「もう、解散って事で良いですよね?」
 と言うか、解散にして欲しい。吉田を保健室に連れていきたいし。
「あ、後は……。じっ…自習だ!」
 そう言い捨てて、体育教師は逃げ去っていった。
 哀れ体育教師。変なトラウマを抱えてなけりゃ良いんだが、まぁ俺の知った事じゃないか。
 体育教師が去った後、今度こそ、完全無欠の歓声が爆発する。
 ――あぁ、俺達の勝ちだ。本当に助かったよ、皆。
「まぁ、こんなもんだろ。―――って、待てシャナ! 追わなくて良い!」
 走り出そうとしたシャナを引き止める。
 追撃無用。深追いはするなと言う。
「なんでよ、敵は潰せる内に潰した方が良いわ」
 本当に物騒な事を言うよ、このお嬢さんは。けど、今はシャナが二の舞にならないか心配だぜ、おれは。
「敵って………まぁ、ある意味で敵だったけどな。もう良いんだ。それにだ、シャナにとってはこれからの方が大変なんじゃないか?」
「なにが大変にな―――ッ!?」
 シャナは首を傾げるが俺が答える前に、クラスメートが俺達を押し包んだ。
 意味もなく叩かれたり、興奮した声で誉めそやされたり、嫌みなく冷やかされたりと、俺達は もみくちゃにされた。
 ―――何がって、こういう事だよシャナ。さっきシャナが言った所の敵とやらを俺達は撃退したんだ。これは―――、そうだな、祝勝会みたいな物だよ。
 けど……、こんな風に騒ぐのも久し振りだな。
 シャナは目を白黒させて、押し込む歓声と好意の触れ合いに翻弄されていた。こういった経験はあまりないのだろう。何をどうすれば良いのかも分からず、あたふたとしている。

 な? 体育教師を潰すよりよっぽど大変だろ。

 これも経験だ。目一杯やられてこい。
 さて、もみくちゃってのも悪くはない。けど、俺には用事があるからな。
 先にお暇をさせてもらうぞ。
「池、後を頼んでいいか?」
 丁度良く、頭を叩きに来た池を呼び止める。
「ん? 何を………。あぁ、分かった。後は任せろ」
 それだけで池は分かってくれたみたいだ。頭の回転が早くて本当にたすかる。
 そういえば、俺自身が意識してない内に平気で池って呼んでるな。
 坂井悠二の記憶がそうさせたのか、それとも頼りになる彼の人柄がさせたのか。
 ――まぁ、どっちでも良いか。
「皆、ちょっと通してくれ? 後は平井さんに任せるよ。田中、俺の代わりに池をぶっ叩くので我慢してくれ」
「おい、衛宮!?」

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