暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
[7/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
体育の科目の教師なだけはある。池の様に受け身も取れない状況じゃなかったしな。
「さて――、仕上げと行くか」
 クラスメート一同の騒ぎに隠れながら、そっとシャナに近付いて質問する。
「シャナ、脅しは出来るか?」
 周囲の騒ぎで問題ないと判断したのか、アラストールがシャナにこっそりと言った。
「そうだな、金を得るときの方法でどうだ?」
「そうね……、アイツは確かに威嚇で黙りそうな顔をしてるわ」
 なんか、恐ろしい位の物騒なやり取りを聞いてしまった。
 なんだか心配になってきたけど、これはシャナがやらないと意味がないしな。
 俺が言うのもなんだが、体育教師さん。無事を祈るよ。
 再び歩き出したシャナを見て、クラスメートは再び静まり返る。
「お前、ちょうどトラックの上にいるわね」
 命の危険を察知したのか、シャナから逃げようと体育教師は地を這う。その様には、既に体育教師の威厳なんて物は微塵も残っていなかった。
 おいおい、そんな惨めに這いよれ! って具合に逃げてたら、我らがシャナさんが冒涜的に攻撃してくるぞ。
 そして、予想通り、這いながら逃走する体育教師の鼻先にシャナの脚が踏み落とされた。
 ――のは良いのだが、細くしなやかな脚からは考えられない音を立てている。見れば、しっかりと固められたトラックに、靴が沈み込んでいた。
 踏みしめた脚をシャナが上げると、そこには靴底型で五センチ程の深さの穴が空いている。
「だから……、やり過ぎなんだよ」
 とは言え本人には多分、自覚はないんだろう。彼女にとっての手加減のレベルをもう一段上げて貰うしかない。
 驚愕と恐怖に目を剥く体育教師。あの、パッと見て中学生かどうかも怪しい生徒の尋常ではない脚力を見れば当然だろう。
 同情するよ、なにせ俺も昨日の晩に同じ様な目に遭ったからな。
 だけど、アンタのした行いを俺は許す気はない。残念だが、最後の駄目を押させてもらう。
「危なかったですね先生。けど、今回は無事で済みましたけど、次は注意しないと危ないですよ」
 こう言うとき、あの教会の性悪神父と極悪シスターの真似が役に立つ。アイツ等は戦意を削ぐ所か叩き潰しに来るけどな。
 だが、相手がシャナだけで済まないぜ。俺が消えてしまうその瞬間までは、今日の様な横暴を許す気なんてさらさらないからな。
「分かった?」
 俺が教師に言い終えた所で、脇からシャナがとびきり凶悪な笑みと共に言った。
 良いタイミングだ。なんだよ、やれば出来るじゃないか。
 それにしても、あの可愛らしい見た目とのギャップ………、実に良いね!!
 教師を脅迫している今の状況を考えないようにしたら、端から見てる上ではこの上なく可愛らしいなぁ。
 普段から強気な女子のああいう笑顔は見慣れてるから、ちょっとした安心感を覚える
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ