”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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止めようがない。うっかりあの二人の間に入ってた体育教師の身代わりになろうものなら、即ノックアウト間違いなしだろう。生憎、あの教師にそんな義理はないが。だが、せめて俺がフォロー出来るシナリオに持って行くしかないな。
仕方がないので、俺はシャナに攻撃目標を指示する。
「顔以外を狙って殴らずに蹴れ!」
攻撃行為自体の妨害をした訳ではなかったので、シャナは指示通りに蹴りを放ってくれた。
多分、止めろだとか待てだとか言っていたら聞き入れてくれなかっただろう。
シャナに再び蹴り飛ばされた体育教師は、放物線を描いて地面に激突する。
―――おいおい、封絶張ってないのに大丈夫なのか。
俺は池の二の舞は御免だぞ。なんせ、俺は治癒魔術なんか使えないんだ。
「――やり過ぎだ、シャナ」
なら、威力の調整位はちゃんとしてもらいたいものだ。シャナだって封絶を展開していない状態では治療は出来ないんだろ?
まぁ一応、予定通り(?)の結果には持って行けたので、予め用意していた台詞をわざとらしい言い方で周囲の生徒にも聞かせる。
「危ないですよ先生。皆がランニングしてるトラックに、周りを確認しないで入ったら」
それを聞くとシャナは怪訝な顔をする。大方、意味が分からないのだろう。なにせ、状況説明が無茶苦茶だからな。
なら頼むから、何も言わないでくれ。話がこじれちまう。
そこで、メガネマンこと池速人が、流石に坂井悠二と付き合いの長い友人らしく、一番最初に意図を理解したようだ。元から頭の回転も速いのだろう、こいつはありがたい。
池も周りに言い聞かせるように大声で叫んだ。
「蹴り飛ばされても、仕方がないですよね!」
それを聞いて佐藤も理解したようだ、クラスメートを煽るように続く。
「だよな! 平井さん足が速いから!」
佐藤に続き田中も声を出す。ここまで来れば後は簡単だろう。
「そりゃ、急には止まれねぇわな!」
田中が言い終えた所で、続々にクラスメートが声を上げ始めた。
騒ぎは歓声のように上がり、トラックを包み込む。
要はテ〇リス……はちょっと違うか。ぷよ〇よとかコラ〇スみたいな落ち物パズルゲームと同じ要領だ。
この場にいる生徒は、皆一様に教師に対して不満を抱えていた。そりゃあそうだろう。巻き添えの形で延々と走り続けさせられた挙げ句、吉田を痛め付ける様を見せられたんだからな。
なら、この集団を動かすのは簡単な事だ。全員を同じ目的で行動させるキッカケがあれば良い。
俺が体育教師にかけた声は、実はクラスメート全員に向けて放ったメッセージだったのだ。
―――やるなら今しかない、ってな。
「――お、お前ら」
体育教師は這いつくばった姿勢で、呪詛のような声を漏らしていた。どうやら大した怪我はしてないみたいだな。流石は
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