”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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った体育教師の顔は、案の定怒りに染まっていた。
しかし、シャナにはなんの効果もない。それが通用したら、俺だって苦労はしないんだ。
「この授業に意味があるのなら、説明してみなさい」
シャナはさらに体育教師に問い正す。
今更だが、シャナに吉田を預けてるのが凄く心配だ。なんというか、色々と危険過ぎる。
「おい……、シャナ。吉田さんをこっちに」
こっちに寄越せと、小さくシャナに声をかける。シャナはこっちを見て、その後に吉田を見直す。あぁ、吉田が誰か分からなかったのか。
吉田の胸のゼッケンを確認して合点がいったのか、シャナは肩に持たせかけていた吉田を、こちらに放って寄越してきた。
おい、なんて渡し方だよ……。これじゃあ、シャナが吉田に追い撃ちをかけてないか?
吉田を受け取り、声をかける。
「吉田、大丈夫か?」
顔は青ざめていたが、吉田は僅かに頷く。良かった、今の追い撃ちで気を失ってはいないな。
けど、どっちにしろ早く保健室に連れていかないとな………。
受け取った吉田を、近くにいた女生徒に預ける。申し訳ないけど、今はシャナのカバーに回らないといけない。
―――必ず保健室に連れていくから、もう少しだけ待っていてくれよ。
そんな俺の後ろでは体育教師が怒声を上げている。目を背けたい現実だよ、全く。
「平井、教師を足蹴にしよって。停学……、いや退学にしてやるぞ!!」
猛り狂う体育教師とは対照的に、平然としているシャナ。どっちが年上か分からなくなくなりそうだ。
「私は、説明しろ、と言ったのよ。それともお前は、授業の意味の説明さえ出来ないのかしら?」
「分かっているのか、平井! これは問題行為なんだぞ!」
説明だとか問題行為だとかどうでも良いから、まずはその前に会話をしろ二人とも。
会話のキャッチボールなんてよく例えられるけど、アンタ等のはただの銃撃戦だ。相手を潰す気で話したって解決する訳ないだろ。
それにだ、二人とも周りに俺達がいる事を完全に忘れてないか?
シャナはそんな事は最初から気にしていないだろうが、特に体育教師さんよ。
いっその事、後は自習にして別の場所でやりあってくれ。はっきりと言うが、観るに堪えないし、聴くにも堪えないよ。これも学生の職分の内だと思って我慢してるけど、忍耐にも限度がある。
俺ですらそんな事を考えてるんだ、クラス一同はそろそろ限界だろう。
そんな中、全く会話が成立しない状況に俺達と同様に飽々していたのか、とうとうシャナがしびれを切らした。
シャナの眉が急に平坦になる。あれはヤバい、シャナは一発何かをお見舞いする気だ。しかも周りの生徒と体育教師は気付いてないだろうが、あの重心の乗せ方は踏み込みの姿勢だ。
一息で懐に飛び込むつもりなのだろう。
こうなったら
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