暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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シャナを見ながら走ってたんだから、周りをキョロキョロしてなかったしな。

 ―――もう直ぐで追い付くから、それまで耐えてくれよ。

 そう祈りながら走るが、俺が女生徒に追いつく寸前、女生徒はトラック上にうずくまってしまった。
「間に合わなかった!」
 急いで俺が女生徒に駆け寄った所で、体育教師が怒鳴り声を上げる。
「吉田ぁ! 何をサボっとるか!!」
 お前の眼は節穴かよ! これのどこがサボってる風に見えるんだ!
 俺は吉田という女生徒を支えながら、体育教師に内心で毒づく。
 息を切らして胸を押さえる吉田の肩に手を当て、解析をかける。そのうち、続々とクラスメートが駆け寄っ てきた。
 どうやら吉田は普段から貧血などをよく起こすのだろう。解析の結果、体は丈夫な方ではなかった。
 大事には至っていないから良いものの、ペースを落とす事も出来ずに走り続けさせられていたら、こうなる結果は分かりきっている。
「お前ら、何を勝手に集まっとる!」
 怒声を上げながら歩み寄ってくる体育教師。俺の隣で吉田を心配していた女生徒が反論する。
「先生、一美を休ませてあげて下さい」
  他の生徒からも批難の視線が体育教師に浴びせられるが、肝心の体育教師はその視線も全く感じとれてい。
 それもその筈、彼の標的たるシャナはこの事態に動じる事なく、今も走り続けており、彼は憎々しげにそれを睨み付けているからだ。
「うるさい! そう言ってサボっていたら、いつまで経っても体力がつかんだろうが!」
 視線を戻した体育教師は吉田を介抱していた俺を押しのけてくる。そのまま吉田の腕を掴み、無理矢理引き起こした。
「お前がサボっとるから、皆が足を止めるんだ! 立て!」
「………っ!?」
 息をするのも苦しそうな吉田が、声にならない悲鳴を上げる。
 その姿を見て、カチンと来た。普通なら教師がまず、生徒の体調を心配する所だろう。
 思わず俺は体育教師を睨み付けていた。
 ―――例え自分の体調も不調でも、生徒の安否を第一に考える。藤ねえはそんな教師だった。それに比べて、目の前の教師ズラをした男はなんだ。ただシャナに痛い目を見せる為だけに、周囲の生徒を巻き添えにし、あろう事か体調不良を訴えている生徒に鞭を打つような真似をした。
 ―――それが、そんな事が教師のする事なのか!
 視線は体育教師から外さずに立ち上がる。お前は教師として一番やってはいけない事をした。愛の鞭と体罰は似て非なる物。月とすっぽん以上に異なる物だ。
 だが、俺に何が出来る?
 今の体育教師には何を言っても無駄だろう。返って逆上させてしまえば、火に油を注いだようなものだ。
「なんだ衛宮。俺に何か言いたい事でもあるのか?」
 相変わらず高圧的な態度で俺の方を向く体育教師。今、俺がいる場所は学
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