”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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人だな。
「お〜い……」
気を取り直して、おにぎりにかぶり付こうとした所で、聞き慣れた声に呼ばれる。
見た所、吉田の後ろの方で池を始め、佐藤と田中が手をあげていた。
どうやら、今まで事態を静観していたようだ。
こうなったら、一人も三人も同じだな。そう考えて俺は苦笑しながら手招きをする。
確かに吉田の相手がシャナと俺だけだと、吉田も辛いだろうし。一人でも多い方が気楽だろう。
そういう訳で、新たに四人を加えて、昼食を再開する事になった。
田中が大声で話して、佐藤が混ぜっ返し、池が締めて俺が補足する。俺としても友人は多い方が良いし、こういう風に話し相手が増えるのは素直にありがたい。
吉田は会話には加わらないながらも、時々小さく笑い、弁当を食べていた。
シャナはと言うと、食料袋からお菓子を次々と取り出しては、黙々と食べている。
しばらくして、俺が会話から外れると、俺の服の袖を引っ張り文句をつけてきた。
「アラストールと話しにくい」
俺がいなくなり、唯一の話し相手とも話し辛くなって寂しいのか、捨てられた子猫の様な目で訴えてくる。
以外と、コイツは小動物系なのかもしれないな。だが、そこは心を鬼にしろ衛宮士郎。助け船を出してやる訳にはいかないだろう? なにせ、これも経験だからな。
「いいんじゃないか? たまには普通の人と話してみるのもさ」
「なんでそんな余計なこと」
「まぁ、そう言うなよ。さっき取り囲まれた時だって、まんざらでもなかったんじゃないか? 」
「訳が分からなかっただけよ」
きっと今まで他人と触れあう時間が少なかった性で、そういった感情とどう向き合えば良いのか分からないのだろう。
「そういう所を直すためにも、やっぱり他人と接する必要があるな」
という訳で、頑張れよシャナ。応援はしてるぜ?
「直す……? どういう意味よ」
そんな具合で、顔を寄せあってひそひそと話し合う俺達。すると、それまで一言も話していなかった吉田が、初めて口を開いた。
「……ふ、二人とも。な、仲が良いんですね!?」
いや、その反応は予想の斜め上だよ。俺達のどこが仲良く見えるんだ? 第一、吉田達が来るまで言い合いをしていたのを見ていただろう?
「なんでさ。良くないぞ?」
俺はともかく、シャナは確実に仲が良いとは思っていないだろう。だからこそ、協力関係の為にも仲良くしたいんだ、俺は。
そう俺は否定したつもりだが、微妙な視線が皆から向けられる。
「いや、良いぞ」
「うんうん、良いな」
「良いって、絶対!」
三者三様に良いと言ってくる。お前らの目は節穴なんじゃないか?
「………なんでさ」
その後も微妙な視線が止むことは無かったが、俺は昨日とは違って賑やかな昼休みを過ごす事となった。
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