”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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二をトーチにしたのはフリアグネだ。
シャナが気負いをする必要はないと思うんだけどな。
なんで自分から罪を背負おうとしてるんだよ、シャナ。
「ふん、同じ事でしょ」
「いや、違うな」
「同じよ」
「違うな」
「同じ」
「違う」
言い合っている内に、いつしか俺たちは真正面から睨み合っていた。
一体、どうしたってんだよシャナ。
「「………」」
静かに、しかし花火が散りそうな対決を繰り広げてる俺達。
すると、遠慮がちに小さく声がかけられた。
「……あ、あの…」
何故かそこだけ息がピッタリとあった俺達は、睨み合いを一時中断し、声のする方に振り向く。視線の先には控えめな印象の少女が、真っ赤になった顔を伏せて立っていた。
ほん少し前にランニング中に倒れ、シャナが結果として助け、俺が直接保健室に連れて行った、クラスメートの吉田一美だ。
もう保健室から戻ってこれたらしく、顔色もさっきよりかなり良くなっているようだ。にしては、なんだか妙に赤いが。
「吉田、もう大丈夫なのか?」
吉田はこちらに頷く。多分、肯定の意味だろう。そしてシャナに話し掛けた。
「そ……その。ゆ、ゆかりちゃん。さっき、体育の時間……あ、ありがとう」
それはとても小さく、途切れ途切れの声だった。
だが、今そこにいるのは俺との言い合いで不機嫌な我らがシャナさんだ。多分、言い合いの邪魔をされた捉えてるのだろう。それのやっかみも手伝った様で、ことさら無情に訊き返した。
「―――なんか用?」
本当に社交性皆無だな!? 本当に斜め上の応対だよ。
「なんでそうなるんだ馬鹿。お礼を言ってくれてるんだから、質問するにしても、どう致しまして、って 返してからだろ」
「誰が馬鹿よ!」
吉田とは正反対の強い声でシャナは言う。
「別に私は、私の邪魔をする奴を片付けただけよ」
「いや……。まぁ、そうなんだろうけどさ」
確かにシャナの物言いがキツいのはよく分かっているつもりだけど、今のは完全に俺との言い合いのとばっちりじゃないか。
ほら、気が弱そうな吉田は、どんどん小さくなってるだろ?
この状況を打開するのは俺しかいないのか。吉田が気の毒で仕方がないしな。
そこで、彼女が前に揃えている手の中に、小さな弁当箱がある事に気が付いた。
「えっと……。良かったら、昼飯でも一緒にどうだ?」
「え? あっ……。は、はい……!」
そう言うと、吉田は顔をほころばせた。良かった、断られたら気不味いしな。
俺は吉田の為に空いている席を寄せる。
「シャ……じゃなくて、平井。別に良いだろ?」
「別に………。断ってもそうするんでしょ。なら、好きにすれば?」
「あ、ありがとう……」
吉田は小さい声ながらもシャナに答えた。ビックリする程、対照的な二
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