暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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何かだろ。
 それにしても、口をなかなか開けれないのか? あっはっは、本当に可愛い奴だなぁ。
 そんな俺の思考知らずにシャナは続ける。知っていたら、逆に怖いが。
「せめて、お前の中身が分かれば、やりようもあるんだけど」
「そんなに妙な代物なのか?」
 確かに贄殿遮那は解析できたが、俺の中の宝具は解析できなかった。というより、プロテクトがかかってて、解析を妨害されてる感じなんだよな。
「うん。なんだか厄介そうな物っぽいのよね、アラストール?」
 アラストールが珍しく、返答を遅らせた。
「………うむ。中身を確認するには、まずもって貴様を消さねばならん」
 パックの口に未だ格闘するシャナは、少々イライラし始めながらただ内容を補足する。
「でも、宝具の質が分からないのに開けたら何が起こるか分からないの。前にも、それでヒドイ目にあったし」
 ヒドイ目とは、あくまでシャナにとってという事だろう。消した事はそれ程問題ではないらしい。
「おいおい、俺の安全はその程度のモノなのか?」
「うん、その程度のモノ」
 意地悪くシャナは言う。まぁ、どうせ消えちまう事を考えたら、さして問題ではないのも確かに頷ける。
「まぁ、別にどうでも良いんだけどな」
 なんとなく納得している自分もいるし、特に反論する理由もないので、サラリと流す。
「お前、自分が消えるって事実は全く気にしてないわね」
「どうだろうな? 確かに消えるのは嫌だけど、それ以前に俺は人を一人消してしまってるからな。そんな俺に文句を言う資格はないし、そもそもシャナに言った所でどうしようもないだろ?」
「………」
 そう言うと、シャナは見るからに機嫌を悪くした。
 ―――何か癇にさわるような事を言ったか、俺?
「諦めたの?」
 先程とは違う、責めるような声でシャナは問いかけてくる。
 油を注がないように、冷静で落ち着いた声で俺は返す。
「実はよく分からないんだ。生きるために足掻くべきなのか、当然の報いとして受け止めるべきなのか。でも、シャナやアラストールがいてくれるのは、凄くありがたいな。あぁ、それだけはハッキリと分かってる」
「……?」
 不可解な物を見る目でシャナは俺を見てくる。
「状況を共有してくれる相手がいるってのは、それだけで結構支えになるんだぞ?」
「私たちが支えですって?」
 シャナはせせら笑う。
 何が気に食わないんだ、シャナは。
「お前に終わりを運んできた者を、支えにするって言うの?」
 シャナの言葉で合点がいく。あぁ、そういう事か。
「別に終わりを運んできた訳じゃないだろ? シャナはただ本当の事を教えてくれただけだ。別にシャナが俺や坂井悠二を殺した訳じゃない」
 ハッキリと俺は否定する。
 なにせ坂井悠二を殺したのは俺自身だし、その坂井悠
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