暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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 自覚出来る様な変化が無かったので理由は分からない。一応、身体に解析もかけたんだけどな。
 確かにコンマ数秒程は、投影時間は早くなった様ではあるけど、そんな事はシャナに分かる筈もないだろうしな。
 誓って言うが、朝だからって下半身に問題がある訳でもない。

 しばらくその様を眺めながら待っていたが、全く出て来る気配が無かった。
 別に昨日の事を怒っている訳ではないようだけど。
「もう時間だし、先に用意して学校に行くからな? 千草さんに見つからない様に出てくれよ」


 一応、そう声をかけて俺は登校した訳だ。
 そんな事が朝にあったので、なんだか気まずい状態にある。そして学校に来てからも特に話をする事もなく、現在四時間目。
 体育の授業は急遽、球技から無制限ランニングになった。恐らく、というか確実にシャナが原因だろう。
 走りながらため息が出る。朝からの一件もそうだが、現在の学校は安住の地ではない。危険に満ちた戦場なのだ。
 ちなみに事の張本人のシャナは、涼しい顔で走っている。全く、気楽なもんだな羨ましいよ。
 俺たち生徒の走行時間は既に授業時間の半ばを超えているが、シャナは最初と全く同じペースで走っていた。言うまでもないだろうが、最初から超ハイペースだよ。トロトロ走ってるならともかく、あのペースで走り続けてたら、陸上部からのスカウト間違いなしだな。
 まぁ、フレイムヘイズとして戦う日々を送ってきたシャナだ。この程度の運動なんて朝飯前なんだろうけどさ。
 無論、それは俺も同じではある。そもそも、こんなただ無駄に疲れるだけの意味のない運動でダウンする程、ヤワな鍛えられ方はされてないしな。だが、少しは加減っていうのを知った方が良いと思うよ。いや、マジで。
 どう考えても、この急な無制限ランニングは体育教師からのシャナへの当て付けなんだ。つまり、標的であるシャナが足を止めるか、終業のチャイムが鳴らない限り、このゴールのない長距離走が終わる事はない。
 クラスメートの皆には良い迷惑だろう。主に体力的な意味で。無論、俺にとっても良い迷惑だ。主に精神的な意味で。
 ちなみに俺はというと、シャナの後方3メートルの位置をついさっきまではキープしていた。
 シャナに追随していた理由は簡単だ。シャナが何かをしでかした時に、俺が即座にカバーに回らないと不味いだろ?
 だがシャナを警戒するあまり、俺はある女生徒の異変に気付くのが遅れてしまった。
 俺がその異変に気付いたのは、厄介な事に追い抜いた後だった。仕方がないので急いで加速してシャナを追い抜き、女生徒の前の位置から追いかける。
 これまでの俺のペースを考えると、露骨なペースダウンはマズい。それにいきなり急減速をしたら、後ろに目でも付いているのか、なんて言われそうだ。何せ、ずっと
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