第一話「夜空の巫女」
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ったらよいのかぁ……」
頬張りながら、うれし泣きしつつ俺に礼を言う彼女に俺は苦笑いを浮かべながら食べている彼女を見守った。
「い、いいって……」
――よほど腹が減ってたんだな?
しばらくして彼女は食べ終えると、俺に深々とお辞儀をした。
「本当に……本当に、助かりました。何とお礼を言ったらよいのか……私は、玄那神社の巫女をしております天弓侍弥生と申します。先ほどはとんだ失礼を致しました。助けていただいたというのに名前もなのらず……」
ようやく彼女が自己紹介してくれた。
「いいんだよ? 誰だって見ず知らずの人に助けられれば、少し不安もあるさ? ところで、天弓侍さん……だっけ? 君はここで何をしていたの?」
「そ、それは……」
何か聞いてはいけないことだったのか、俺はとっさに口を押えた。
「あ、ごめん! 嫌なこと聞いたかな?」
「いいえ、そんなことは……ただ、重要な使いを任されておりましたから」
「重要な?」
「ごめんなさい。そこまでは言えなくて……」
「ま、いいさ? 俺には関係のないことなんだし、それよりも怪我の方は大丈夫?」
「はい、気を失っている間にも徐々に痛みが引いてきたのかもしれません」
「それはよかった」
「本当に、ありがとうございます」
そう言って今度こそ彼女は立ち上がった。
「傷の具合はいいの?」
「いつまでも長居をするわけにはいきません。それと、このご恩は一生忘れません。ありがとうございました……」
笑みを浮かべ俺に言う彼女は、女神のように美しく、可愛かった。
――か、可愛い……!
が、そのときだった。一発の銃声が俺たちの間に割りこんできたのだ。
「何だ!?」
俺は振り帰った。そこには木々を乱暴になぎ倒し、現れた数体の「IS」だった。
「あ、IS!?」
俺は当然驚いた。何せ、こんな山中にクマが出てもISが出るとは思わなかったのだ。
「くぅ……もう、追手が……!?」
彼女は表情を険しくさせ、ISに体を向けた。
「ついに見つけたぞ? キサマの持つ「RS」をこちらに渡してもらおう? そうすれば命までは奪わない」
先頭に立つISの女はそう巫女に言ってくるが。巫女の少女は断固として拒否する。
「なりません! このRSはこの世界をただすために必要なカギなのです」
「ケッ! 女のくせに、男の味方につきやがって……ん? そっちの男は何者だ!?」
荒っぽいISの女が俺の方へ睨み付けた。
「お、俺は……」
咄嗟に、「俺はただ彼女を助けただけだ……」と、言おうとしたが、ISに対してはどうにも言えなかった。
「まぁいい……お前を殺してでもRSは手に入る。安心しろ? 一人で死なせはしない。そこにいる男も後からお前の元へ行かせてやる」
残忍に笑む先頭のISは片手に持つアサルトライフルを彼女
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ