第一話「夜空の巫女」
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も、血とか出てるかもしれない。待ってて? 手当てする物とか持ってくるから……」
そう立ち上がって彼女から背を向けたのだが、俺の手首を咄嗟に彼女が掴んだ。
「ま、待って……?」
「え、え?」
行き成り掴まれて俺は緊張と驚きが止まらなかった。何せ、女の子が俺の手を掴んだのだから。
「お、お願いです。しばらく、傍にいてください……」
――えぇー!?
途端に顔を赤くなった。無理もない。そんなことを女の子に言われるのなんて初めてだったからだ。
ま、彼女いない歴=年齢だから仕方がない。
「俺……九条、九条飛鳥」
しばらくは彼女の傍に座り、落ち着くまでいろいろと話を持ち掛けた。彼女は自分のことは詳しく話してくれなかったが、一様俺の話を聞いて安心している。俺も徐々に緊張がほぐれ、女の子相手でも落ち着いて会話ができるようになった。しかし、彼女のレオタードの下半身を見るたびに俺は興奮して息が荒くなりそうで、出来るだけ見ないように……なんて、できるはずがあるか!
「あ、あの……」
「え?」
「あまり見られると、恥ずかしいです……」
「ご、ごめん!」
しまった! やっぱり俺の下心は見抜かれていたか……
大概にややしばらくの気まずい沈黙が続いたが、そのうちに彼女の方から口を開けた。
「あの、一つお聞きしたいことが」
「な、なに?」
「もしかして……私の声を聞いてここまで来てくださったのですか?」
「え! じゃあ……もしかして、あの声は君が?」
「……」
彼女は黙って頷いた。
「あの、見つけてい頂いてありがとうございます。怪我の方は大したことはございませんので歩くことはできます」
と、彼女はゆっくりと立ち上がった。まだ痛むのか、肩に手を添えて歩き出す。
「ど、どうしたの?」
「ご迷惑をおかけすることはできませんので、それでは失礼致します……」
「あ、ちょ……」
引き留めようとした刹那。彼女から何かの音が聞こえた。かなり大きい。
「あ……」
ここまで大きくなるのなんて思わず、途端に顔を真っ赤にする彼女は恥ずかしさのあまり膝がガクッと落ちた。
「本当に、どうしたの……?」
「そ、その……お腹が……」
「腹痛かい?」
「い、いいえ……お腹の虫が……」
「虫? お腹に虫って……ああ、そういうこと?」
「うぅ……力が入らない」
少女は、空腹ゆえにこれ以上動けないらしい。
「まってて? 何か食べる物を持ってくるから」
俺は急いで近くのコンビニへ言ってパンやジュースを購入し、急いで裏山へ向かった。幸い、彼女はまだその場にいたようだ。いやぁ、偶然財布を持っていて助かった……
*
食べ物を目に彼女は無我夢中で食べ始めた。パンに齧りつき、ペットボトルのジュースをがぶ飲みする。
「ありがとうございますぅ〜! 何とお礼を言
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