第一話「夜空の巫女」
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よ……」
苛立ちながら俺はベンチから立ちあがってまた周辺を見る。けど、オレに近寄ってくる奴は居ない。
「さっきから何だ?」
『助けて……』
――しつこいな?
「何だよ? さっきから……え?」
その途端、俺の頭の中に山の光景が映った。それも知っている場所だ。そこから助け声が聞こえてくる。まさか、あそこに誰かが居るのか?
「……」
最近、夜更かしでゲームやパソコンのやりすぎで変な幻まで起こったのだろうか?
しかし、どうにも何度も空耳が続くとのは理解できない。俺の頭がまだ壊れていないのなら、あの声は実際に裏山から聞こえたのだ。
「……」
暇つぶしだ。そう俺は思って好奇心から裏山へ足を向けた。ニートゆえに腐るほど時間はある。どうせこのまま家に帰っても嫌な思いをするだけなんだし。
*
裏山は中学校の裏側にあるからそう呼ばれている。中学生のころはよくそこへ行って、頂上の丘まで登ったものだ。
「どこなんだ……?」
俺は息を切らしながら裏山の山道を歩いていた。裏山を歩くにつれて声が近づいてくる。
『助け……』
しかし、その声は徐々に弱っている。急がねば!
「どこだ! どこにいる?」
俺はつい声を出してしまった。まるで、本当に人を助けるかのように。
あわてた俺はいつの間にか走り回っていた。どうしてだろう? まだ本当に人が助けを求めているのかわからないのに……
だが、違った。今から起こる事実に、俺は頭の中が真っ白になったのだ。
「あぁ……っ!?」
茂みに横たわる人の姿を見た。それも見た途端にある一言が口に出た。
「綺麗だ……」
着物を着た美少女だ……それも着物は巫女を連想させるような和風のレオタード装束を纏っている。コスプレイヤーか? いや、ならどうしてこんな山の中で倒れているんだ?
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と、とにかく……俺は彼女へ駆け寄ると肩を持って揺さぶり始めた。ほのかな香りと共に柔らかい肌と生暖かい温盛が伝わってくる。
「大丈夫ですか!?」
「う、うぅ……!」
痛いところに触れたのか、彼女は意識を取り戻してゆっくりと目を覚ましだした。
「き、気が付いた?」
気が付いたはいいが、もし目を覚ましたら俺を見てなんていうか……大抵変質者だって言われそうだけど、いちよう訳ぐらいは言っておこう。
「こ、ここは……?」
ゆっくりと瞼を開け、視界に写る俺を見た。
――可愛い声してんな?
声優のようにかわいい声だった。そんな彼女が起き上がると、途端に肩の痛みに苦しみだしてしまう。
「あ、ごめん! さっき強くそこを揺さぶっちゃったから……」
「い、いいえ……自分の不注意で怪我をしただけですから……」
「そうか……え、怪我? 大丈夫なの?」
「肩の強打したと思われます。けど、そこまで酷い打撲では……」
「で
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