解かれる結び目 8
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護っている守衛の男性が二人と。
正門の前まで礼拝に訪れていた、数人の男女。
私の背後には、神殿騎士が数十人と大神官。
「この世界は今、魔王レゾネクトの脅威に震撼しています。あらゆる種族に牙を剥く彼の者の凶行は、神々の御心を酷く痛ませている」
これでは少し人数が足りない。
せめて敷地内に居るすべての人間が聴けるように、空間を把握して。
全体に声を響かせる感覚で。
できているかどうかは分からない。
とにかく大きな声を心掛けて、この場に居る全員に訴えかける。
「それ故、私は神々の祝福を賜れし勇者達と共に、件の魔王を退ける使命を授かりました。天神の一族最後の一柱マリアは、本日より神殿を離れます」
「マリア様……っ!!」
どよめきの中に聴こえる、大神官の掠れた怒声。
……貴方が言ったのよ?
私が口にすれば、それが神託なのだと。
誰も私の言葉を疑いはしない、と。
私は、巫の声で、神殿の内外へ向けて宣言した。
神殿の象徴である私は、神々のご意思に従い、神殿を出ると。
大神官であろうと神殿騎士団であろうと、巫の言葉には逆らえない。
私を閉じ込めれば、それこそ人間達の不信を買ってしまうということよ。
強行しようものなら、権威以前の大問題になるわね。
そして。
「本日以降の神殿での務めは、女神マリアの名と権限において一時大神官の位に委譲します。神々の託宣は得られずとも、日々真摯に祈りを捧げ、私が帰還するまでは皆で協力し合い、座を汚すことなく守護し続けるように」
権威の拠り所を、巫から大神官の位を与えられた者へ移し替える。
天神の一族が権威の象徴なら。
巫に直接選ばれた者は、巫と同等の地位を得ることになるでしょう?
加えて、私の帰還までと期限を設けておけば人間を見捨てるのではないと対外的にも意思を残せるし、離反はある程度防げる筈。
貴方達がよほど酷い過ちを犯さなければね。
「健やかな時も苦難の時も。すべての生命に神々の御加護があらんことを。日々の善き営みを望み、この言葉を贈るものとします」
完全に言葉を失った大神官の顔を、肩越しでちらりと覗き。
もう一度正門に視線を移して、微笑む。
「命あるすべてのものに、幸よあれ」
誰かが何かを言う前に。
ホリードさん達が居るであろう礼拝堂の中へ瞬間移動する。
やっぱり、三人が立っている位置は移
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