4部分:第四章
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第四章
「木の葉で菓子を買うというのか?」
「何っ、木の葉じゃと!?」
「しまった」
「御馳走に気を取られてしまったわ」
三匹はここでしまった、と気付きました。けれどもうそれは手遅れでした。何とか耳は収めましたがそれでももう木の葉は銭には戻りません。今更戻したところでどうしようもないものでした。
「参ったのう、失敗したわ」
「どうする?それで」
「どうするもこうするもないじゃろ」
親父の前であれこれと言い合います。しかしもうどうにもなりません。何とか逃げようとしますが親父の気配に圧されてその隙も見出せません。そして親父がここで言うのでした。
「何故ここに来たのだ?」
「ま、まあそれはのう」
「何でも砂糖を使った美味い菓子があると聞いてじゃ」
「それで来たのじゃよ」
こう親父に正直に答えるのでした。
「じゃがわし等は山におって銭なぞ持っておらんから」
「それで人に化けて銭も木の葉を変えて作って」
「来たのじゃがのう」
「そういうことだったのか」
親父は三匹の言葉を聞いて頷きました。
「それでか」
「う、うむ」
「じゃがだれては仕方ない」
「去るとしよう」
諦めて帰ろうとします。その背中は丸くなって肩は小さくなっています。けれど親父はそんな三匹に対して声をかけてきたのでした。
「待て」
「待て!?」
「待てとな」
「そうだ。待つのだ」
こう彼等に声をかけるのでした。
「御主達がばれたのは犬と馳走のせいだな」
「そうじゃ」
「その通りじゃ」
親父はまた彼等に告げました。
「そうでなくともよく見れば雰囲気が人ではないがのう」
「ううむ、ばれるべくしてばれたのか」
「無念なことじゃ」
三匹は親父の言葉を聞いて残念な声を漏らしました。しかしもうばれてしまったので言ってもせんのないことではありました。それでも、であったのですが。
「それでは仕方ない」
「そうじゃな」
「残念じゃが」
そして次にはこう話す彼等でした。
「親父、邪魔したな」
「それではな」
「まあ待て」
ところがここで。親父は三匹に対して声をかけてきたのでした。
「わしの菓子を食いたくて来たのだな」
「そうじゃ」
「その通りじゃ」
このことは素直に答える三匹でした。その為にわざわざ人間に化けて木の葉を銭に変えてそのうえで来たのです。このことは偽ることはしませんでした。
「しかしばれてしまったからのう」
「仕方ないことじゃ」
「食いたいのなら食うがいい」
親父はその残念な顔の三匹に告げました。
「食いたいのならな」
「何っ!?」
「よいのか!?」
「それはまことか!?」
「わしは嘘は言わん」
親父は腕を組んで頑固そのものの顔で三匹に告げました。
「嘘はのう。言わ
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