第二十二話
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》ターの境界線って何だろうね」
「……な、に、を……」
「冒険者は神の恩恵で体を強化されてるよね。使えるはずのない魔法を使えたり、すごい怪力を手に入れたり。……でもさ、それってモンスターにも同じことが言えないかな。深く潜るほどありえないことを仕掛けてきたり、力が強くなったりさ」
この少女は突然何を語りだしているのか。話の内容は理解できる。けれど、今ここでレイナが、それも一般人の十三歳の少女が語れるようなものなのか。アイズは理解したからこそその顔を驚愕の色に染めた。
「冒険者もモンスターも似たもの同士だよね」
それを聞き、アイズの脳裏に過ぎったのはダンジョンの食料庫で遭遇した赤髪の女レヴィスと、死から蘇ったオリヴァス。
冒険者は神の恩恵を受けて強化される。モンスターは魔石を食らうことで己を強化する。
冒険者は武器を手にする。モンスターは天然武器を手にする。
冒険者は魔の法を操る。モンスターは未知の力で未曾有の現象を引き起こす。
冒険者はモンスターを殺す。モンスターは冒険者を殺す。
冒険者は仲間を作る。モンスターは群れを作る。
線引きは、言葉を話し高度な思考を持つか。むしろ、同族を疑い、嫌い、時には殺し略奪する冒険者の方が……。
「そんなわけ、ない」
震える声で何とかその言葉だけ絞りだせた。そこから先が続かないのは驚きから抜け出せていないだけでなく、純粋な第三者の視線に立って厳密に比較してみるとレイナの言葉がまさにその通りだからだ。
ただ、あの醜悪なモンスターと同じないしそれより下であるはずがない、そうでないでほしい。その思いがアイズの喉を動かした。
レイナはアイズの拒否にただ一つ小さな笑みを浮かべた。
「うん。それも解ってる。つまり私が言いたいのは、敵味方の判別を間違ってほしくないってことだよ。君はこれからずっと強くなると思う。けど、大きな力を持つ人はそれが周りにどんな影響を与えるか自覚しないといけない。きっとそれが君の判断を狂わせるから」
「……どうしてそんなことを言うの?」
目の前の少女は、本当に少女なのか。自分よりずっと年下の少女は、その腕もその思考も自分より遥かに優れている──いや、熟成しているように思える。その幼い容姿とは裏腹に、長年生きてきた経験者の魂が宿っているかのよう。
それほど歪なバランスが目の前にあるのに、それが今の今までまるで違和感が無かった。それがアイズの背筋を汗とは別のものが冷やした。
レイナに対する印象が
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