解かれる結び目 7
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い除けられた。
大声に反応した騎士達が、詰所から一斉に飛び出してくる。
「天神の一族は……マリア様は、神殿にいらしてこその女神なのですよ! こうなった以上、エルンストでも他の騎士でも構わない。一日も早く一族の血を継ぐ子供を孕ませなければ……!」
「…………っ!?」
正気……? 正気なの、この人は?
神々に仕える者の言葉とは思えない。
気持ち悪い!!
「産ませて、それで?」
大神官様に振り向いたホリードさんが、笑顔で尋ねる。
「マリアに子供を産ませて、貴方は子供とマリアをどうしたいのですか? 神々はマリアに旅を指示した。つまり、これ以降の神託は期待できません。伝え広めるべき言葉が無いのだから、巫など、ただの飾り物だ。それを、貴方はどうしたいのですか?」
飾り物……ちょっと胸が痛んだけど、それは事実だわ。
これからの神々はきっと、巫としての私を認めない。
人間に強要されたものなら尚更。
神々は、人間にだけ都合が良い存在とかじゃない。
「元々、我らには神々の御声など聴こえていない。すべては巫マリア様の『お言葉』だ。マリア様とその子供が口にした言葉であれば、それが神々の託宣なのだよ! 例え真実がどうであろうとも!!」
全身の毛が逆立つ。
目の前の景色がぐるりと円を描いて歪んだ。
ふらつきそうになる肩をコーネリアさんが支えてくれなければ、床に倒れ伏してたかも知れない。
……こんな……
こんな風に思われていたの?
私は。私達、巫のお役目は。
天神の一族が代々受け継いできた、誇りある仕事は……!
「つまり、マリアとその子供に適当なことを言わせておけば体裁は保てる。神殿の看板として座っててもらえれば、貴方はそれで満足なんですね?」
「マリア様は元来そうしたお役目の方だ!」
「……って、大神官様はこう言ってるけど。マリアはどうしたい?」
肩越しに目線が送られる。
どうしたいか?
そんなの
「決まってます……。絶対に! お断り!!」
私は神々の指示に従うと、自分で決めたの。
これからを考えると、物凄く怖いし、目の前が真っ暗で。
心境としては震えが止まらない。
それでも、この道を歩いていくって決めたの。
自分の意志で決めたのよ!
「大神官様。いいえ大神官! 私は確かに言葉を伝えるしかできなかった。他に何もしなかったし見ようともしてこなかった。そのせいで貴方に一族のお役目を誤認させているとしたら、それは私の罪だわ。でも貴方のやり方は間違ってる! 真が通らない言葉をばら撒いたって、誰も救えないのよ!」
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