解かれる結び目 7
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」
「神殿は、貴方達が力を合わせて護りなさい。私は私の使命を果たします」
低い階段に足を掛け、ふと、祭壇へ振り返る。
ステンドグラスの輝きが照らし出しているのは、中庭側の壁一面を飾る、色鮮やかな壁画の数々。
神々がすべての生物に手を差し延べる様子と。
救われた者が感謝の祈りを捧げる様子を精緻に描いてる。
祭壇の下に隠れた翼の紋様は、天神の一族を表す御印。
ここは、ずっと小さい頃から見てきた私の家。
私が生まれ育った……故郷になるのね。
「私は無知で外界に不慣れです。足を引っ張ることも多いでしょう。ですが護っていただく必要はありません。どうか、共に行かせてください」
お客様達の前に立って、深々と腰を折る。
コーネリアさんとウェルスさんは顔を見合わせ、ホリードさんを見た。
ホリードさんは、姿勢を正した私の顔をじっと見上げて……
「嫌だ」
「え?」
「仲間を護れないのは、嫌だ。そう思われるのも心外。それは俺達に対して信用も信頼もしてないって意味になる。信用してくれないと、ちゃんとした仲間にはなれない」
「あ……」
ホリードさんが立ち上がって私の手を取り、朗らかに笑う。
「一緒に来るなら俺達を信じて。俺達も君を信じる。絶対に裏切らないし、裏切らせない。頼るよ。頼らせるよ。覚悟は良い?」
すごく難しいことを言われてる気がする。
私と三人は、ちょっとだけ会話をした? 程度の関係でしかない。
ほぼ初対面のようなもので、互いのことなんかほとんど何も知らない。
はっきり判っているのは、それぞれの立場と進む先。
神々から与えられた役目だけ。
それでも信じると……信じてくれと、まっすぐな目で言うのね。
貴方達と全力で向き合って、私にも対等であれと言うのね?
なら。
「すぐには無理です。旅の間に、私を信じさせてください」
私は嘘一つない心で、その強さに応えるわ。
「……合格! よろしく、マリア!」
取ったままの手をぶんぶんと上下に振って。
ホリードさんは笑みを深めた。
「気安い!」
そんな彼の頭を、立ち上がったコーネリアさんがいつの間にか脱いでいた靴の底で叩く。
ゴツって、かなり硬い音がしたんだけど……大丈夫なの?
ウェルスさんも立ち上がり。
コーネリアさんの肩を抱いて、楽しそうにケラケラと笑ってる。
……こういうのも、信頼あってこそなのかしら?
「騎士団! マリア様をお護りしろ! 拐かしを企む輩が居るぞ!」
え……
大神官様!?
「大神官様、何を!?」
エルンストが慌てて、大神官様を止めようと彼の前面に立ち。
腕で乱暴に払
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