解かれる結び目 7
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つエルンストが、私の左肩を見てちょっと驚いたみたい。
うん。これだけは受け取ろうと思うの。気持ちは拒んだのに、狡いかな?
でも、私の為に作ってくれた物だと思うから。
私の目と同じ色の宝石が嬉しかったから。
他の誰にも渡さないで。捨てたりなんかしないで。私に頂戴。
………大切にするから。
「皆様も、心静かにお祈りください」
両手を組んで目蓋を閉じ、ステンドグラスを透過した光が溢れる天井を仰ぐ。
神々に問う。
私が為すべき事を。女神として求められている事を。
私は女神マリア。神々に仕え、人間に言葉を伝え広める者。
そして多分、新たなる役目を賜った者。
どんなに恐くても其処から逃げない。
もう、目を逸らしたりしない。
「………」
……そう……やっぱりそうなのね。
頭の奥に響く柔らかな声。女性とも男性とも思える穏やかな、昔から聞き慣れてる声。
神々はやっぱり私を鳥籠の外へ導いてる。
私は選ばれた。
昨日指示を下さなかったのは、私に覚悟が無かったからだわ。
神々は、私を待ってくれていた。
「神託は下されました」
組んでいた指を解き、手のひらを合わせてその間に新しい世界を想像する。
白い、無垢な空間。神々が行き着く場所。静寂が満ちる独立した世界。
離した手のひらから、創造した空間を此処ではない場所へ拡げる。
『無事に帰り、扉を閉ざしなさい。空間の女神マリア』
私の新しい役目は、神々を眠らせる事。
魔王レゾネクトを討った後、新しい世界を私が遮断する。
私は神々と共に眠る最後の女神。
神々の意思を受けて、正真正銘、天神の一族最後の一柱となった。
「私は勇者一行と共に魔王レゾネクトを討つ使命を賜りました。神々に仕える者達よ。今後も神殿を護り、弱き者達の支えとして在り続けなさい」
「マリア様!?」
大神官様が慌てて立ち上がる。騎士達も驚いてる。表情を変えなかったのは、三人のお客様と……目蓋を伏せたエルンスト。
「貴女は神々の導きを我らに示す女神ですぞ!? 神殿を捨て置かれるおつもりか!」
「それが神々のご意思なればこそ。私は託された使命を果たしに行かねばなりません。より多くの者を救う為に、貴方達を信じて預けるのです」
「危険すぎます! そのような事は彼らにお任せすれば良い!」
大神官様が指したのは、石柱二本を挟んだ隣に座るホリードさん達。
「彼らは神々の祝福を授かった選ばれし者。貴女が出向かれなくても立派に……」
「お黙りなさい! 神々の意思に叛くおつもりですか、大神官たる者が!」
昨日、良からぬ企みを聴いてしまったからかしら。大神官様の考えが手に取るように解る。
私に……女神に万が一の事があれば、人間に好都合な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ