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逆さの砂時計
解かれる結び目 7
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つエルンストが、私の左肩を見てちょっと驚いたみたい。
 うん。これだけは受け取ろうと思うの。気持ちは拒んだのに、狡いかな?
 でも、私の為に作ってくれた物だと思うから。
 私の目と同じ色の宝石が嬉しかったから。
 他の誰にも渡さないで。捨てたりなんかしないで。私に頂戴。
 ………大切にするから。
 「皆様も、心静かにお祈りください」
 両手を組んで目蓋を閉じ、ステンドグラスを透過した光が溢れる天井を仰ぐ。
 神々に問う。
 私が為すべき事を。女神として求められている事を。
 私は女神マリア。神々に仕え、人間に言葉を伝え広める者。
 そして多分、新たなる役目を賜った者。
 どんなに恐くても其処から逃げない。
 もう、目を逸らしたりしない。
 「………」
 ……そう……やっぱりそうなのね。
 頭の奥に響く柔らかな声。女性とも男性とも思える穏やかな、昔から聞き慣れてる声。
 神々はやっぱり私を鳥籠の外へ導いてる。
 私は選ばれた。
 昨日指示を下さなかったのは、私に覚悟が無かったからだわ。
 神々は、私を待ってくれていた。
 「神託は下されました」
 組んでいた指を解き、手のひらを合わせてその間に新しい世界を想像する。
 白い、無垢な空間。神々が行き着く場所。静寂が満ちる独立した世界。
 離した手のひらから、創造した空間を此処ではない場所へ拡げる。

 『無事に帰り、扉を閉ざしなさい。空間の女神マリア』

 私の新しい役目は、神々を眠らせる事。
 魔王レゾネクトを討った後、新しい世界を私が遮断する。
 私は神々と共に眠る最後の女神。
 神々の意思を受けて、正真正銘、天神の一族最後の一柱となった。
 「私は勇者一行と共に魔王レゾネクトを討つ使命を賜りました。神々に仕える者達よ。今後も神殿を護り、弱き者達の支えとして在り続けなさい」
 「マリア様!?」
 大神官様が慌てて立ち上がる。騎士達も驚いてる。表情を変えなかったのは、三人のお客様と……目蓋を伏せたエルンスト。
 「貴女は神々の導きを我らに示す女神ですぞ!? 神殿を捨て置かれるおつもりか!」
 「それが神々のご意思なればこそ。私は託された使命を果たしに行かねばなりません。より多くの者を救う為に、貴方達を信じて預けるのです」
 「危険すぎます! そのような事は彼らにお任せすれば良い!」
 大神官様が指したのは、石柱二本を挟んだ隣に座るホリードさん達。
 「彼らは神々の祝福を授かった選ばれし者。貴女が出向かれなくても立派に……」
 「お黙りなさい! 神々の意思に叛くおつもりですか、大神官たる者が!」
 昨日、良からぬ企みを聴いてしまったからかしら。大神官様の考えが手に取るように解る。
 私に……女神に万が一の事があれば、人間に好都合な
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