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SNOW ROSE
間章 I
枯れ葉舞う頃に
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かったの?」
「いいえ、きっと逢えるわ。こんなに苦労して他人のために心を砕ける人が、幸せになれなきゃ可笑しいもの。年が廻り、また枯れ葉舞う頃に…」
 そうエフィーリアが言った時、遠くから男性の声がした。
「そんなところに居たのか。」
 そう言って近づいて来たのは、エリスの甥のカールであった。
 方々捜し回ったようで、かなり汗をかいていた。
「もう、家に行ったら居ないから心配したよ。」
「カール、お前なんでここにいるんだい?フィレの街に居たんじゃないのかい?」
 エリスは驚いて目の前の甥に尋ねた。
「やっぱり手紙届いてなかったんだ…。伯母さんが用が済みしだい来いって手紙寄越したから、急いで仕事を終らせたんだ。そして来ることを手紙で知らせようと出したんだけど…。着いてなきゃねぇ…。」
 カールは仕方ないと言った風に両手をあげた。
「でも伯母さん、こんなとこで何してんのさ。」
 不思議そうに聞いてきた甥に、エリスはエフィーリアを紹介しようと横を向いた時、そこにはもう誰の影も無かった。
「あら…?」
 エリスが怪訝な顔をしているので、カールは「どうかしたの?」と声を掛けたのであった。
「さっきまで若いお嬢さんとお話しをしてたのよ?カール、お前は見なかったのかい?」
「いいや、伯母さん一人だったけど…。」
 二人は顔を見合わせた。
「そんなはずないわ。エフィーリアって名前まで名乗ってくれたんですもの。」
 エリスは信じられないといった顔でカールを見上げたが、カールはそんな伯母の言葉に目を丸くしていた。
「エフィーリアだって!?」
 カールのあまりに素っ頓狂な声に、エリスの方が驚かされた。
「何だい、そんな大声で…。」
 エリスは嗜めるように甥に言ったが、カールはお構いなしに質問をぶつけてきたのであった。
「その人ってもしかして、金の髪に栗色の瞳をしてなかった?」
「ちゃんと見てたんじゃないのさ…。」
 エリスは甥に揶揄われていると思い、少しムッとした顔になって言った。
「違うよ、僕は本当に見ていないよ。でも、その名前に心当たりがあるんだ。」
 この甥の言葉にエリスは困惑した。そんなエリスを見て、カールはその理由を話し始めた。
「今の話しだけどね、その名前って街では有名なんだ。」
 そう言うや、彼は街で聞いた話をし始めたのだった。

 今から二十年程前、エフィーリアと言う美しい娘がこの世を去った。その娘の容貌は金の髪に栗色の瞳だったと伝えられている。
 その死の際、埋葬しようとしたら棺から薔薇の薫りが漂ってきたため、参列者達は驚いて棺を開けたという。
 棺には入っているはずのない真っ白な薔薇が満たされており、神に祝福された証と騒がれた。
 その娘はその後、神に愛され女神となったと言われたのだと言うのだ
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