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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第184話 強さの意味
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――いったい、どうして……? 確かに、あの男にへカートを撃ち込んだはずだ。
シノンは、頭の中でその言葉がぐるぐると回っていた。
狙ったのはリュウキの身体の中心ではなく左脚を照準した。へカートの威力であれば、その部位でも十分にHPも身体も吹き飛ばす威力を得られる。……勿論、リュウキも其れくらいは把握しているだろう、とシノンは思えていたが、それでも、音速を遥かに超えるその弾丸、それはどうしようもない一撃の筈だった。
だが、へカートの弾丸はリュウキに当たらず、消え去っていたのだ。
「へ、へカートの……弾丸は……」
シノンは、そのコンバット・ナイフの刃で斬り裂かれる、若しくは SAAかデザート・イーグルで撃ち抜かれる事を予感しつつ、思わずそう聞いていた。撃たれるとしても、斬られるにしても、決して瞼だけは閉じまいと目を見開きながら。
「あの弾丸なら、向こうだ」
シノンは反射的に、向けられた指先方向に視線を向けた。そのリュウキが指さした先は高速道路から外れた先、方角は北東の位置。その先にあった支柱に大きな風穴の様なモノが出来ていたのだ。
「な……、有り得ない。そんなの……、わ、私が狙ったのは……」
シノンは、一気に動揺した。あの先に銃撃を入れようとすれば、初めからそちら側に向いて、構えなければならない。それこそ、銃身が曲がっているかの様に、銃撃ではありえない曲射砲でも起こらなければ、有り得ない軌道だ。
「シノンが狙ったのはオレの左脚、だな。 これだけの近接での射撃。へカートの様な威力の高い
対物
(
アンチマテリアル
)
ライフルなら、それが定石だろうと思う。バカ正直に胴体を狙うよりは良い。どこを狙っても即死だからな」
シノンはその言葉を聞いて狙いがバレている事は判った。だけど、それだけじゃ説明がつかない。あの音速を超えるへカートの咆哮、その軌道をどうやって変えたのかと言う事だ。だが、その疑問は次のリュウキの言葉で解消される。……信じがたい事をやってのけたという事実を。
「へカート、いや他の銃にも言える事だ……。それは出る力が強ければ強い程、進む力が強ければ強い程、横からの力には弱いと言う事。このナイフの切っ先程度でも、簡単に軌道を変える程に、な」
リュウキは、シノンからナイフを離して、切っ先を見せた。
へカートの一撃だ。ナイフにも黒ずんでいる箇所がしっかりとあった。だが、そこは耐久値無限仕様だから折れる様な事はない。それを見せられたシノンは更に目を見開かせていた。
「……なっ」
自身が撃ち込んだであろう、へカートの刻印が入ったナイフを見て、驚く。この男は、へカートの弾を斬った、いや違う、そのナイフで受け流した、と言ったほうが良いだろう。音速を超える速度で
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