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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第9話 猟兵と騎士
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達は善人ではないだろう、だが悪人でもないことも知っている」
「えっ?」
「『剣を交え己を知り人を知り本質を知る』、この言葉はラウラにも教えてきた私の真理だ。武とは己の心を映し出す鏡のような物……心に迷いあれば技のキレは鈍くなり、殺意のみをもって振るえば荒々しくなる。それは剣も同じこと、剣を交える事で私はそなたを知った。
 そなたの剣は弱弱しくも真っ直ぐな太刀筋であった。だからこそ私はそなたが心の良き人間だと、そしてそんなそなたに心許すフィーも同時に悪などではないと理解した」


 『剣を交え己を知り人を知り本質を知る』……何て重い言葉なんだろうか。


「リィン、そなたは少し『猟兵』という立場に捕らわれてしまっていないか?」
「あ……」


 試食にそう言われて俺は気が付いた、確かに僕は猟兵という立場を気にしすぎていたのかも知れない。
 猟兵は世間から嫌われている、それは事実だ。だから僕は自分の立場を隠していた、だがそれは心を許した相手にもしなければならないのだろうか?
 僕はラウラと出会い話し剣を交えて彼女がどういう人間なのか何となく分かってきた、剣の道を真っ直ぐに歩き、何事にも一生懸命で揺ぎ無い自分の正義を持っている。でも時々ふと浮かべる笑みが可愛いそんな女の子……


「そうか、僕は本当の意味でラウラを信じてなかったんだ……」


 僕はラウラの事を知った、でも彼女が猟兵を嫌っていると知って僕は「ああ、きっとラウラも僕の正体を知ったら拒絶する」と決め付けてしまった。
 もし僕がラウラを信じて本当の事を話していれば、例え『猟兵』は嫌っていても『リィン・クラウゼル』として受け入れてくれたのじゃないか?僕を猟兵と知っても受け入れてくれたエレナのように……
 でも僕はラウラに歩み寄らなかった、自分が猟兵とばれて拒絶されることばかり気にしていた。


「僕は『リィン』じゃなくて『猟兵』としてラウラと向き合っていた。彼女の事を理解したつもりになっていた……馬鹿だな僕は…向き合えていなかったのは僕だっていうのに」
「リィン……」


 フィーがそっと僕の手を握る。


「リィン、わたしも同じだよ…わたしもラウラをちゃんと理解できていなかった、ラウラは凛々しくて強くて迷いなんて無い、そう思ってた、でもラウラもわたしと同じで心の弱い普通の女の子だった。だからちゃんとラウラと話そう、今度こそ互いに分かり合えるように……」
「フィー……」


 そうだね、まだ終わっていない。僕はまだラウラと向き合えていない、なら今からちゃんと伝えよう。僕の本当の思いをラウラに知ってもらいたい。


「子爵ありがとうございます、貴方のお陰で僕は自分に足らなかった事を知れました」
「ふむ、ならそなた達はどうするの
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