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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第9話 猟兵と騎士
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ならこれで終わる、だが子爵は振り向きもしないまま最小限の動きで僕の攻撃をかわした。


「やああッ!!」


 素早い動きで太刀筋を読まれないようにかく乱し上、背後、下からと攻撃していく、だが子爵はこちらに見向きもせずに全ての攻撃をかわしている。


 ガシッ!


「なッ!?」


 しまいには指で刀を受け止められてしまう。


「中々の速さだがまだ甘い!」


 ブンッ!


 子爵は刀ごと僕を前に投げ飛ばした、何とか体勢を立て直し着地する。


「どうした、そなたの実力はこの程度か?」
「ぐッ……時雨!!」


 離れた場所から瞬時に相手に接近して放つ戦技「時雨」。僕の得意技を子爵に放つ、が子爵は先ほどと同じようにその場から一歩も動かず身体の動きだけでかわしていく。


「時雨連撃!!」


 時雨を連続で繰り出す『時雨連撃』、だが子爵はそれもかわす、こっちは全力で技を放っているのに子爵は顔色一つ変えずにかわしていく。


「うおおおっ!!」


 僕は太刀を横に構えて下半身を狙ったから薙ぎ払った一撃を放つ、子爵はそれを跳んでかわした。


「時雨空牙!!」


 空中に跳んだ子爵目掛けて時雨を放つが、子爵はそれを剣で弾いて防いだ。


「ならば!」


 僕は隠し持っていた煙幕を地面に叩きつけて辺りを煙に漂わせた。本当はこんな卑怯な手を使うのは気が引けるが相手は光の剣匠、そんな悠長な事を言ってはいられなかった。


「そこだ!時雨・零式!!」


 煙幕の中に空気の流れを感じ取った僕は身体のバネを使い近距離から放たれた時雨を放った。だが僕が突いたのは子爵の残像だった。


「なっ……!がはっ!?」


 そして背後から放たれた殺気に振り返ろうとした僕の頬に平手打ちが放たれた。ゴロゴロと地面を転がりながら何とか体制を立て直すが脳が揺れて意識が朦朧としてしまう。
 そして煙が晴れて子爵が剣を肩に担ぎ僕を見ていた。


「はぁ、はぁ……ここまで差があるのか?」


 純粋な剣の実力なら団長以上かも知れない、勝てる相手じゃないのは分かっていた、でも次元が違いすぎる。ここまで強いとは思ってもいなかった。
 ……悔しい。実力的に圧倒的な差があるのは承知している、だが僕だって剣士だ。勝てなくとも一子報いたい、そんな気持ちがわいてきた。
 

「すぅ、ふぅ……」


 僕は刀を鞘に戻し鞘を腰にあて居合いの構えを取る、今僕が放てる最大の一撃を子爵にぶつける!


「ふむ、そなたの全力で来るか。なら私もそれに答えよう」


 子爵がこの仕合で始めて剣を構えた、それだけでさっきの倍以上の闘気が子爵から
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