第9話 猟兵と騎士
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seid:リィン
「ラウラ!!」
どうしよう、僕達が猟兵だって事がラウラに知られてしまった。まさかラウラがいたなんて……もう少し警戒しておくべきだった!
「リィン、どうしよう、わたしのせいで……」
フィーは瞳に涙を浮かべながら不安そうに僕を見る。
僕はフィーの頭を撫でる。くっ、僕は馬鹿か、これじゃエレナの時と同じじゃないか!あの時だってそうだ、ちゃんと正直に話していたら……勇気を出せていたら彼女を助けれたかもしれなかった。
終わってしまった事を悔やんでも過去には戻れないのは理解している、僕は今だって後悔している。なのに僕はまた……!
「リィン、わたし、ラウラのこと友達になれたと思ってた。でももう嫌われちゃったのかな?わたし、ラウラに嫉妬してたの、リィンと同じぐらいの強さを持っていて貴方と分かり合ってたラウラが羨ましかったの……そんなことを考えてたから罰が当たっちゃったのかな?」
「フィー……」
ずっと西風の旅団の皆にしか心を開かなかったフィーが初めて他の人間に心を開いた、そのことに僕は嬉しく思いながら悔しさを感じた。
フィーとラウラ、二人を傷つけてしまったからだ。大事な妹を泣かせて何が兄だ……!こんなんじゃ…兄なんて名乗れないよ!
「フィー、とにかくラウラを探そう。猟兵だってことを隠していたことは事実だ、けどこのままじゃお互いが傷ついたままになってしまう」
「……うん」
良し、とにかく今はラウラを探さないと…僕とフィーはラウラを探しに向かった。
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「ラウラ、どこにいるんだ。ラウラー!」
ラウラを探して屋敷の中を歩く、だがラウラの姿はどこにもなかった。
「駄目だ、どこにもいない」
「使用人の人にもきいたけど見てないって……」
目撃者も無しか、ということは屋敷の外に出た可能性が高い。よし、一旦外に出て……
「おや、リィンにフィーではないか」
何処からか声をかけられた僕はちらりと背後を見る、そこにいたのは……
「ヴィクター子爵!」
ラウラの父にして帝国最強の剣士……出来れば今一番会いたくない相手だった。
「何やら急いでいるようだが、ラウラの姿も見えぬし何かあったのか?」
ど、どうしよう……相手は帝国領地を治める子爵、僕達は猟兵、普通なら相容れない関係だ。猟兵だってばれたら不味い、勝ち目なんてない。いくら僕達の顔が知られていないとはいえこの人なら簡単に見破ってしまうかも知れない。
「……ふむ、リィン。そなた達、何か隠し事をしていないか?」
感づかれている!
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