解かれる結び目 6
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も彼女の伴侶候補なんだろう? 初耳すぎてびっくりだけどね」
また、あははっ、と軽快に笑う。
けど、なんだろう。
朝の感じと、何かが違う。
「っ行こう、マリア!」
「! 待っ……」
エルンストに引っ張られそうになった私の腕を。
ホリードさんがエルンストの手首を掴んで、止めた。
「言葉は意志を交わす為のもの。相手に押し付けるものではない。一方的に想いを告げただけで逃げ出すのは、迷惑行為や精神的な暴行とも大差ない。彼女を一個の意思ある生者として見ているなら、想いを告げた君には彼女の考えと答えを聴く義務がある」
……目だ。朝との違いは、ホリードさんの目。
表情は今朝と同じなのに、目は全然笑ってない。
怒り? 呆れ?
判らないけど、なんだろう……静かに圧倒される。
「君はどうする? 彼とどうなりたい? 迷ってるなら迷ってると答えても良いけど、この世界は数秒後に形を失うような脆さで出来てる。その時になっても後悔しないように選択したほうが良いよ。どんな選択肢を選んでも大体後悔するとはいえ、選ばなかった後悔は結構キツイから」
選ばなかった後悔。
選ばない……エルンストの気持ちを無視して、逃げ出す?
友達としての関係も、寄せてくれた好意も全部、見なかったフリをして、エルンストから逃げる?
そんなの。
そんなの、今までの自分と何も変わらないじゃない!
「エルンスト。私の話を、聴いてくれる?」
私は強くなりたい。
自分の責任から逃げたくない。
自分に恥じない自分になりたい。
だから、選ぶ。
「マリア……」
向き合ったエルンストの手が、私の腕を離してくれた。
ホリードさんの手も、エルンストの手首から離れる。
「ありがとう。貴方に好きって言われたことは、嬉しいわ。ううん。正直、驚いたり嫌だと思ったけど。それは私が貴方を友達だと思っているからよ。好意そのものは嬉しかった……と、思う」
カンテラの光を浴びたエルンストの顔が強ばってる。
酷いことを言ってるかな?
言ってるよね。
でも。
想いに応えるって、こういうことでしょう?
貴方の辛い顔は見たくないから。
なんて理由で貴方の手を取るのは、全然誠実じゃない。
「私はエルンストと友達でいたい。まして神々の指示じゃない結婚なんて、相手が誰であっても絶対に受け入れないわ」
「! 何を」
エルンストの腰に下げられた剣を引き抜く。
う……。剣って、見た目で想像してたよりも、かなり重いのね。
けど。
「私は強くなりたいの。だから、私の弱さを貴方に託したい」
片手に剣を持ったまま、反対の手でエルンストが編んでくれ
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