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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第183話 言いたかった言葉
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、非現実的な光景だ。
現実であれば、へカートの様な対物狙撃ライフルを立射で撃つなどできるようなものではない。が、そこはゲーム。この世界GGOでは、十分なステータスさえあれば、決して不可能ではない。次弾の事を考えていたシノンだが、2発目は無いモノと考えていた。外せば負けだからだ。……だが、外す事は有り得ない筈。
観客も息を飲んでいる事だろう。
あのキリトとリュウキの一戦の様な光景がまた開催されているのだから。あの時、一体何をしているのか? と最初こそは思ったが、蓋を開け、終わってみれば残ったモノは驚愕の二文字だった。
それが、また再来するのか? と期待しているかもしれない。
――だけど、シノンはそんな事考えていない。
ただ、1発の弾丸で全てを終わらせるつもりだからだ。あんな派手な戦いは出来ないし、そもそもしたいとも思わない。
頭の中ではまだ負けるとは思えなかった。思えなかったのだけど、この肌を刺す様な緊張感。……うなじをチリチリと焦がしているこの緊張感。その全て本物だった。
「……じゃあ、行くぞ」
リュウキは、躊躇なく左手の指を弾いた。弾薬が回転しながら高く高く舞い上がる。この時、リュウキはだらりと、両手を下ろしていた。シノンの様に構えたりしていない。
ただ、自然体。自然体の姿勢だった。
――構えさえ必要としないというの?
シノンの中で急激に高まっていくのを自覚した。構えすら取っていないことに、驚きも勿論あったけれど、それより言いようのない感覚が高まっていくのだ。あの宙を舞う11.43ミリ弾の動きがあまりにも遅かった。この世界のありとあらゆる音が完全に消滅し、ただ自分の体、そしてへカートUにだけ意識が集中する。
今の自分は精密機械。
ただ、目の前の目標に弾丸を命中させる為の精密な機械。時がまるで止まったかの様にゆっくりと動く世界。その世界で弾丸がゆっくりと地面、アスファルトに触れた。
その瞬間、シノンは人差し指を絞る。
狙った場所へと正確に飛んでいくへカートUの弾丸。近距離であれば、体の何処に当たったとしても、インパクト・ダメージが発生するため、その必殺の弾丸は、相手のHPの全てを奪う。
だから、この一発で終わり。そう、終わりの筈……だった。
その刹那……キッ! と言う音が聞こえたかもしれない。
聞こえたかも、そう表現する程の微かな音。へカートの大型マズル・ブレーキから迸った炎の轟音よりもはるかに小さな音なのだが、シノンの耳には確実に届いた。あの微かな音は一体何だったのだろうか? と一瞬考えてしまう。
そして、同時にシノンの中に疑問が生まれた。
「………」
何故、こんなに考える余裕
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