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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第183話 言いたかった言葉
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どうしてもシノンに言いたい事があったんだ。勝負の後より、今……」
「っ……??」
シノンは、肩で息をしつつも、リュウキの眼をしっかりと見つめた。そして、その表情を見た。
リュウキの目は何処か穏やかになり、そして表情も柔らかくなる。この世界で、見た事の無い表情だった。その表情を作った後、リュウキは一呼吸置いて。
「……
あの時
(
・・・
)
、オレの震えを止めてくれて、ありがとう」
シノンにそう言っていた。
「……!?」
シノンは、その言葉を聞いて驚いていた。まさか礼を言われるとは思ってなかったし、考えてもいなかった。……その事に驚くのと同時に、『それこそが自分を舐めているんだ!』 と言いたかった。
リュウキが言う『あの時』と言うのはあの第1回戦後の事だろう。
だけど、そんな事なら、別にこの試合が終わった後にでも言えばいい。戦いの前に言いたかったからといって、……この戦いに無気力になって良い理由になっていない。
それらが頭の中をまわっていたのだが、なぜか、言葉が喉から出てこなかった。
リュウキも、シノンの顔を見て察した様だ。
「……やはり、勝負の前に言うような事じゃない、よな」
「……あ、当たり前じゃない」
「本当に悪かった。……ただ、それだけは どうしても言いたかったんだ。戦う前に。……でも あの時に、言うべきだったんだ。本当は」
混乱していて、返事を返す事が出来なかったシノンだが、リュウキにそう言われて何とか言う事が出来た。
だけど、シノンはやはり動揺をしてしまう。上手く感情を現す事が出来ない。ただただ、自分でも判らない感情に包まれていた。
「ふむ……」
リュウキは、
拳銃
(
SAA
)
を取り出した。1発の弾丸を取り出すと、ガンプレイをしながら、ホルスターに仕舞う。
「……??」
シノンは、まだ混乱をしていたが、リュウキがしていた事に目を向ける。
「自分の都合で、勝負の腰を折ってすまない。だからこれで、決着をつけないか? 決闘スタイル。……ここまで接近したから、
狙撃手
(
スナイパー
)
であるシノンとフェアで戦えるスタイルはこれが1番だろ」
リュウキはそう言うと親指と人差し指で弾丸を摘みながらシノンにそういった。シノンは、混乱する頭で言っている意味を必死に理解しようとした。……理解をすると同時に、呆れ返った。だが、そのおかげで普段の自分を取り戻すことが出きたのかもしれない。
「……1番って。それにひょっとしてだけど 互いに距離とった後で、攻撃。その弾丸が合図?」
「ああ。距離は……10m程、が良いか?」
「良いか? って、あのね。そんなので勝負になると思ってるの? へカートの性能知らないわけは無いよね。……
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