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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第183話 言いたかった言葉
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たってだけでも凄いのに……、アレはちょっと、な』
『予選Fブロックって言うより、最強女子決定戦になってんな……』
等々だ。
キリトの銃弾を弾く剣技と銃弾を躱す速度。リュウキの銃弾を自由自在に操る銃技とレベルが高すぎる近接戦闘。もっと深く見た者なら判るが、リュウキの眼の力。速度の領域では、キリトに軍配が上がるのに、押し切られた最大の理由がそこにあったのだから。
シノンは、それらの話を耳にしながら、苦笑いをする。
――あの2人、男なんだけどなー。
それはまごう事なき事実である。
だけど、外見は明らかに女の子のソレだから公言でもしない限り……、いや 公言しても信じてもらえるかどうか判らないだろう。軽くため息をした後、シノンはゆっくりと動いた。
「シノン、頑張ってね」
シュピーゲルがシノンに激励を送る。もう、相手が決まったから。待つだけだったシノンの相手が決まり、後は転送されるのを待つだけだ。
「……ええ」
シノンはゆっくりと頷いた。……決勝の相手は類稀なる難敵、……いや 間違いなく嘗てない程の強敵。
その男は、離れても良し、接近しても良し。
非の打ち所が無い程だ。だが、唯一勝機があるとするなら、へカートによる超遠距離からの狙撃。そして狙撃手の有利性であり、最大の武器でもある《予測なしの第一射》。ステージの場所、性質次第で幾らでも、それは変わる。不利にでも、有利にでも。
だが今はそれに全てを賭けるしかない。外せば……終わりだ。
「……私は」
シノンは震える手をぎゅっと握りこんだ。これは武者震い。本当の強者と闘う事が出来るから、感じる魂の高揚。あの男を倒す事が出来るとしたら……。
この時、シノンの頭の中に声が流れ出てきた。そう、あの時にあの男が言っていた言葉。
『予言しておきましょう。もう直、もう直 強い男プレイヤーが、男達がこの世界へとやってきます。……私よりも強い男達が』
嘗て、共闘した時に。
勝ち逃げをしそうだったあの男を引き止めようとした時に、言っていた言葉。そして 彼とこの画面の中で戦い、勝利した彼は身内同士。敗れはしたものの、惜敗のキリト。
あの男が言っていた『男達』と言う言葉。
――もし、彼の言う自分よりも強い男達と言うのが、キリト。そしてリュウキなのだとしたら、全てが繋がる。
「……上等、じゃない」
氷の闘志に、再び火が着いた。自身の氷が溶けてしまいかねない程に、滾る。仮想世界の身体の中に流れる電子が、仮想世界の血が湧く。
――この戦い、絶対に勝ってみせる。
場に転送の光が満ちてきたのを確認したシノンは、ゆっくりと目を瞑った。最後の集中をする。…
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