暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第181話 銃と剣
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判った」

 シノンは落ち着いて、狙いを絞る。
 スティンガーはまず装甲車両で言わを跳ね飛ばし、それを狙撃させ、次弾装填前に、交差点を通過すると言う作戦を立てた様だ。
 確かにその狙いは良い。単発式(ボルトアクション)のライフルはどうしても連射がきかない為、次の狙撃に時間がかかってしまうからだ。事実、車はもう十字路の中央付近まで迫っている。


――……後1発か。


 シノンは、瞬時に残された猶予を導き出した。あの車両の速度と装填速度を考えたら、撃てるのは1発、それも慎重に照準を合わせている時間はない。

 だが、シノンは決して慌てなかった。

 確かに相手はスナイパー最大の武器である《予測線なしの第一射》を奪った。だが、その代わりに貴重な情報を残してくれている。

 それが、1発目の弾道である。

「(……今、私の目には 弾道が焼き付いている。次更に高精度の狙撃ができる。……アイツの専売特許じゃない)」

 シノンは、へカートのトリガーに指をかけた。アイツと言うのは、リュウキの事。彼もシノンが言うように同じ様な事をしているのだ。1発目に放った弾道を脳裏に描き、再生をしながら射撃をしている。それでも狙撃銃と拳銃では、精密射撃に差が出るのが当然なのだが……、変わらない様に撃つ。そこは、納得しかねている。

 納得しかねているが……、今は目の前の相手に集中した。

 シノンは静かにトリガーを引いた。
 再び轟音が辺を震わせ、放たれた弾丸は、吸い込まれる様にHMMWV側面の小さな窓に命中。防弾ガラスとなっているが、へカートの前では無力だ。呆気なく貫いた。……運転手であるスティンガー諸共に。

「……いっそ車から降りて走れば、予測戦を見て回避できたかもしれないのに」

 シノンは、そう呟きながらもまだ体勢を変えない。

 相手が死んだとは限らないからだ。車両は炎上したものの、まだ生きている可能性だって捨てきれない。……如何なる時でも油断はしない、それも教えられた事だ、あの男に。

 そして、その狙撃体勢を解除したのは、黄昏色の空にコングラチュレーション、と言う英単語が刻まれた後の事だった。

――Sinon Win と言う文字も刻まれる。

 準決勝突破した瞬間だ。
 これで、BoB本大会への切符を手に入れた事になるのだが、シノンに笑みはない。もう、この次にある決勝の事、そして別ブロックで行われているであろう、もう1つの戦い、準決勝の事にしか考えられない。

「……さぁ、一体どっちが決勝にまで来る?」

 シノンは、黄昏の空にそう語りかけていた。
 あの場では、確かリュウキの方が強いと言わんばかりの話だった。だけど、戦闘スタイルを考えたら、キリトにも分があるだろう。

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