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乱世の確率事象改変
星の瞬きは未だ届くことなく
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のだが。

――彼はいつでも矛盾だらけだ。捉われ過ぎる方が危うい。

 小さな切片に頭を悩ませてばかりでは先に進めない。星はため息を一つ落として思考を切って捨てた。

「……愛紗は彼と戦えるか?」

 問いかけは突然に。全く別の質問を与えて話題を無理やり変えた。
 じ……と交差する視線。耐えきれず切ったのは愛紗だった。

「……私と彼が戦えばコロシアイになる。どちらかが死ななければ終わらない戦いになるだろう。
 彼が敵として刃を向けてくる場合、私は加減など絶対に出来ない。勝利の可能性を捨てず、“絶対に最後まで抗って来るだろう彼”を殺さないよう戦うなどと……そんなモノは彼と徐晃隊に対する侮辱に等しい」

 全身全霊の力を以って当たらなければ負ける敵。共に戦ってきたから良く知るその相手。
 星や鈴々が相手ならこうは言わない。彼女達なら一騎打ちで負ければまだ交渉の余地はある。しかしその男だけは別なのだ。

 事前に約束を取り付けておこうと軍の勝利を確信したならそんなモノはゴミのように捨てると知っている。
 自身が死んでも何か役に立つのなら汚名など安いモノと考えていて、武人の誇りなど無に等しい。
 敗者となっても言う事は聞くこと無く、目的の為なら手段は択ばない。

 追随する兵士達は狂信に従って彼と共に殉死する。
 戦に綺麗も汚いも無いとその男は言って退け、等しく命を賭けているのだから戦えと自らの舞台に誰も彼もを引き摺り込んで来る……そんな最悪の敵。
 愛紗は彼と戦いたくない。戦場で敵として出会ってしまえば、彼女はその敵を殺すしかなくなる。“叩き伏せる方法”はあろうとも、“説き伏せる言葉”は持ち合わせていない。
 何より、愛紗の胸には冷たい棘が刺さっていた。ソレがあるから話し合いの余地など最初から無い。

――まず第一に……彼を信じなかったのは自分達だ。我らはあの時……彼が敵になると疑ってしまったのだ。

 仲間に信じられず、主にも信じられず、それでも尚その男が自分達と共に戦ってくれるなどと、愛紗は思えなかった。
 自分であっても彼と同様の選択をしたはずで、自分の身一つで仲間が救われるなら命すら差し出しただろう。
 愛紗自身が取れたはずの行動を彼は理解していたのだ。だからこそ、あの場で愛紗が彼を一番に信じなければならなかった。

――もし私があの時から今までの彼の立場になったら、それでもと桃香様や私達に信を貫けるか……? 話し合いに耳を傾けられるか?

 幾度となく考えてきたもしものカタチ。
 思い浮かぶ答えはいつも……

――……否だ。敵になるかもしれないから……などと信頼している主から疑心を突き付けられたら……耐えられない。耐えられる、はずが無い。

 ふと、絶望の底に堕ちた秋斗に向け
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