第四話:休息となり得るか
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いていない肉に宿っている――――摩訶不思議とはこの事だ。
兎も角食えるモノが分かったのは収穫だが、毎度毎度こんな事を続けては何れバレる。
されどその点では、今までトンと使い道のなかった小遣いを使って食えばいいだけの話。心持にも疚しい者など無く、買っている物が物だけに、そこまで深刻になる事もなかろう。
問題は食いものでは無く、自分の身体に起こった変化そのものにある。
何故俺は唐突にこんな味覚となったのか? 何故今朝がたのあの時急に痛みを感じたのか? 疑問は尽きぬ上に、原因が分からない。
見格な十中八九激痛が原因であろうが、肝心の『何が起きているのか』が全く持って不明なままなのだ。
もしかすると、有らぬ変化が自分の中に起きているのかもしれない。今何かを祈れと言われたのならば、味覚だけ変になっている事を願うまでだ。
……しかし、あの痛みと味覚の変化、一体自分に何が起きていると言う……?
「……まるで小さなファンタジーだな」
しかもタチの悪い方の空想劇だ。
もう少しソフト且つ日常生活に支障をきたさない、そしてあの痛みもせいぜいめまいぐらいに抑えて欲しかった。
誰が好き好んで特殊な食生活を送りたいと、激痛が頭から足先まで駆け抜けるのを味わいたいと、そして叶えられる事を本気で願っているのか。
もしいるなら価値観が変化、よっぽどのマゾヒストとしか思えない。
取りあえずでかいレタスはしまい、トマトとキュウリをさっさと食べ終えた。これで本格的に暇になったが、何も暇潰しの方法が無い訳ではない。
「出かけるか……」
昼飯はで時間がかなり開いているのは考えるまでもないし、ちゃんと愛鍵も容姿してあるのならば、散歩と洒落込むのも悪くは無かろう。
思考が狭まっていた所為で思いつかなかったが、のんべんだらりと歩くのも良いかもしれない。
そうと決まれば玄関へ行き、靴を吐いて外へと出て―――道路近くまで足を進めた瞬間車が通り過ぎ、昨日の雨で出来た大きな水たまりに突っ込み、派手に泥飛沫を上げる。
「ベッ! ベッ!」
少し口に入った……つーか服が汚れちまったじゃねえか……。
されど、そこまで悩む事でもない……家に戻ろう、他の服に着替えればいい。
箪笥の中の、『ゴメン麟斗。あなたの服全部洗濯しちゃった?』を見るまでは、そう思っていた。
「……は?」
たっぷり数十秒も固まった俺は悪くない。
なにせ家事に慣れたお袋だ、初歩的ですらないお馬鹿なミスをやらかす訳が無い、そう思っていたからだ。
ふと何の根拠もない筈なの
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