解かれる結び目 4
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好きって気持ちは、人の性格や行動まで変えてしまうのかしら。
エルンストが私に好意を持ってくれてるのは解ったわ。でも、それはいつから？ いつから私を好きになったの？ エルンスト。
人間は、急に相手を好きになったり、その相手が友達でもいきなりキスするものなの？ それが恋なの？ それなら、友達として築いた信頼はどうすれば良いの？
貴方は違う。私を神聖視して距離を置く神官や女官や騎士とは違ってた。
小さい頃は一緒に木登りしたり、隠れんぼして遊んでくれて。
貴方が神殿騎士になると決めた時、そうしたら私達は主従関係になってしまうから嫌だと……たった一人の友達を失うのは嫌だと、悲しくて寂しくて大泣きした私に、約束してくれたじゃない。仕事中以外は友達として仲良くしようねって。
嬉しかったのよ？ 結局貴方は立場を優先させて、友達でいてくれる時間は殆ど無くなったけど……それでもふとした拍子に二人きりになったら、昔と変わらない話し方をしてくれて。昔と変わらない笑い方をしてくれて。それがどれだけ私の気持ちを救ってくれてたか。
なのに貴方は、唇一つでその気持ちを突き崩そうとするのね。
鏡に映った私の顔は信じられないほど真っ赤に染まってる。耳まで赤くなるなんて、どれだけ血の巡りが良くなってるのかしら。仕方ないわ。心臓の音が鼓膜を破りそうなんだもの。大音量が屋敷中に響いてないか心配になるくらいよ。
ほら、見て？ 指先に全然力が入らないの。震えが止まってくれないから、せっかく可愛いリボンで髪をちゃんと結おうとしてるのに、ちっとも上手く出来ないわ。足も痺れたみたいにかくかくしてる。鏡台に座るまで、転んでしまわないか自分で心配したくらい。
もう、何もかもが滅茶苦茶よ。これからお役目に行かなきゃいけないっていうのに、こんな有り様で神々の言葉を賜るなんて許されるの？ 今日はきっとお客様も同席するのに。失態を見せたら貴方の所為よ、エルンストのバカ。
昨晩の笑顔が頭の隅でちらつく。その度に浮ついた衝動が体温を無理矢理上昇させる。
だけど、同時に冷えた感情も存在を主張するの。
『そんな貴方は嫌』
友達で居て。私を揺さぶらないで。貴方の言動は私から平常心を奪おうとするけど……実際、もう平常心なんて鳥より高く空の彼方へ旅に出てると思うけど……でも、これはきっと慣れない言動に驚いてるだけ。恋じゃない。恋じゃないの。
私は貴方を選べないのよ、エルンスト……。
「本日は、此方の方々も同席されます。女神マリアよ。どうか、天上の神々の御心をお示しください」
やっぱり、昨日のお客様は神託を目的に神殿を訪れたのね。
三人共、私と年齢に開きがあるようには見えない。十代後半くらい？
一人だけ男性か女性か判らない人が居るけど……服装からし
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