暁 〜小説投稿サイト〜
お母さん狐の冒険
2部分:第二章
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
お母さんは兎さんに事情をお話しました。何でも猪さんのお腹をなおす草を探していると説明したのです。
「お腹の薬ですね」
「はい」
 お母さんは答えました。
「どれがいいのでしょうか。私こうしたことにはあまり詳しくなくて」
「それならこの草がいいですよ」
 兎さんはそう言って青い草を抜きました。
「この青い草なら。お腹の痛みもすぐになおりますよ」
「本当ですか?」
「私だって森の医者の一人ですから。大丈夫ですよ」
 兎さんは笑ってこう答えました。
「さっ、これを持って早く猪さんのところへ行きなさい」
「有り難うございます。何と御礼を申し上げていいか」
「御礼なんていりませんよ。何でしたら今度人参でも」
「わかりました。それじゃあ」
「はい」
 こうして兎さんから青い草をもらったお母さん狐は今まで来た道を引き返して猪さんのところに向かいました。そしてまだ苦しんでいた猪さんにその青い草を手渡しました。
「これでいいそうですけれど」
「これを食べれば腹の調子が元に戻るのですな」
「はい」
 お母さん狐は答えました。
「是非。お食べ下さい」
「わかりました。それでは」
 猪さんはお母さん狐の勧めに従い青い草を食べました。すると今まで苦しかった顔が急に明るくなってきました。
「これは」
「元気になられたんですね」
「ええ」
 猪さんは声まで明るくなっていました。
「とても。凄くよく効く薬ですな」
「そうですか。それはよかった」
「有り難うございます、おかげで元気になりました」
 そう言いながら立ち上がります。
「お邪魔しましたな。ではどうぞ」
「はい」
 こうして道が開きました。お母さん狐は右の道を進むことが出来るようになりました。
 道を進んで暫く行くと今度は狸さんに会いました。狐さんとは悪友で時には化かしたり化かされたり。仲はいいですが結構喧嘩もしたりします。狐と狸はお互いライバル視していてこの森でもそれは同じなのです。けれど家族ぐるみでのお付き合いもあります。
「あっ、狐の奥様」
 見れば狸さんのお家の奥さんでした。お母さん狐とは子供の頃からのお付き合いで仲はいいのですがやっぱり互いにライバル視していたりします。お母さんは奥さんの顔を見て少し警戒していました。
「どうしたんですか、こんなところで」
「いえ、実は」
 それでも互いに知った仲なので挨拶はしました。そして子供達の為に町まで手袋を買いに行くということをお話しました。
「手袋をですか」
「はい」
 お母さん狐は答えました。
「今から買いに行くんですけれど」
「それなら途中の熊さんに気をつけた方がいいですわよ」
「熊さんに?」
「ええ。最近何かソワソワしていて。ちょっと乱暴なところもあって」
「熊さんがですか」
 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ