ターン33 光の結社とアカデミア−2F−
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「万丈目、大丈夫かな。まだ連絡が来ないんだけど」
「ああ、アイツは強いからな。きっと大丈夫さ」
階段を上がり、ホワイト寮2階。さすがに惜しみなく高級素材を使っているだけあって防音設備も完璧、階が1つ変わっただけなのに下にいるはずの万丈目のデュエルの音が全く聞こえてこない。それとも、もう万丈目が勝ってデュエルが終わっているのか。いや、だとしたら万丈目のことだ、すぐにドヤ顔で何か言ってくるだろう。なのに連絡がないということはまさか……?
そこまで考えたところで頭を振り、それ以上のことを想像するのをやめる。仮定だとしても、そんなことを考えちゃいけない。十代の言うとおり、万丈目は強い。だから勝つし、大丈夫だ。それで間違いない。
「それよりも、1階に明日香さんがいたってことは多分この階にも誰かいるんじゃ」
「や、やめるドン丸藤先輩。そんなネガティブなことばっかり言ってたら、十代のアニキたちの士気だって下がるザウルス」
「あー、また間違えたね?十代のアニキは僕のアニキなんだってば!」
「ぐ………わかったわかったドン。今はそういうことにしておくザウルス」
何の喧嘩をしてるのかはいまだによくわからないけど、とにかく十代の舎弟?は翔1人らしい。でもその話題は置いておくとしても、翔の言うことにも一理ある。むしろ明日香1人だけポンと配置しておいて、他の幹部クラスが出てこなかったらその方がびっくりだ。だからおそらく、その角を曲がったあたりで……。
「どうも先輩方、グッドナーイト」
ほら来た。そこに立っていたのは、葵・クラディー……これまた厄介な実力者だ。
「さて、私の相手をしてくださるのはどなたですか?本当は私だって眠いんですから、せめて選出位は早くしてくださいね」
これ見よがしにあくびをして見せる彼女だが、その目には最初からずっと一切の油断がない。こういうところ、ほんっとこの子は敵に回したくない。だけど、あえて誰か戦力を割くとしたら、長いことそばにいて彼女の細かい癖や思考パターンもある程度読めるようになった僕が適任だろう。
「だったら、僕が」
「ねえ葵ちゃん、私が相手してあげようか?ってさ」
またしても前に出ようとした僕を遮って、夢想がすっと前に出る。それを見て一瞬思案気に目を細めたものの、すぐに頷いて葵ちゃんも純白のデュエルディスクを掲げる。
「学校一の無双の女王が相手ですか。最大戦力が私の相手に動くだなんて、それもまた一興でしょう」
その言葉を聞いて、嫌でもわかった。葵ちゃんは今この場に、自分が捨て石になっても時間稼ぎができれば構わない、それぐらいの覚悟を持って立っている。無論、本人に負ける気はないだろう。だけど、いざという時には刺し違えることすら一切ためらうまい。
根はまじめない
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