解かれる結び目 2
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「綺麗な青色……」
見上げた空には雲一つ漂ってない。従って濃淡もあまり無い。こういうのをなんて言うんだっけ？ えーと……彩度が高い？ 明度が高い？ そもそも高い低いで表す物だったかしら？ 濃い薄い……うん。鮮やかの一言で良いか。
真っ白な神殿を囲む木の葉の緑も凄く綺麗。此方はよく見ると、黄色混じりだったり黒っぽく見えたり、同じ緑でもいろいろあるのね。白い壁がそれらの輪郭を際立たせて、見た目はとても涼やか。
でも、神殿を直視するのは少し危険ね。時間帯によっては反射した太陽の光で目が焼かれてしまうもの。綺麗だとは思うけど、もう少しくすんでても良かったんじゃないかしら？ 住民の視力を護る意味で。
「マリア様」
「……もうっ！ エルンストの意地悪！」
麗らかな午後の日射しをのんびりと楽しんでる時に、堅苦しい服装で近寄って来ないでよ。しかも帯剣してるし。不粋だわ。
「……敬語の事？ 服装の事？」
「両方！ お役目中じゃない時は、ちゃんと約束通り友達として接して欲しいわ」
くすくす笑って誤魔化したって駄目よ。約束を破るなんて最低なんだから！
「ごめん、マリア。でも、君は形式上僕の主人だから……人目に付く場所では我慢して欲しいな。上官に知られたら僕の首が飛んじゃうからさ」
「そんな事は私がさせないわ。大体、皆して気にしすぎなのよ。翼が有るか無いかの違いじゃない」
「それが重要なんだよ」
……解ってるわよ。父さんと母さんが亡くなってしまった以上、私は天神の一族最後の一柱。神々と言葉を交わせるのはもう、私だけ。だから大切にされてるんだって解ってるけど……息苦しいの。
朝から真夜中までずっと誰かの目に監視されてる気がして、少しも落ち着けない。神殿の中は特にそう。自室に閉じ籠ってても、扉や窓から覗かれてるみたいで嫌。
お役目を理解してない訳じゃないのよ？ 神々と人間を繋ぐ誇りある立派な仕事だと思ってるわ。でもね。
毎日毎日同じ場所でひたすら祈りを捧げて、たまに下される指示を皆に伝え広めて……それだけの為に生きてるのかなって考えると、結構寂しくなったりもするのよ。それ以外の道を、貴方達は許してくれないでしょう？
「神だって、お休みしたい時があるの。緊張しかないのは苦痛だわ」
「仕方ないさ。誰も君にはなれないんだから。はい、これ」
「何？」
「約束を破ったお詫び、かな？」
「まぁ。最初から約束を破るつもりで来てたの？ 益々意地悪ね」
手渡されたのは、片手に乗る大きさの白い小包。結ばれた薄紅色のリボンが可愛い。
まさかエルンストが自分で結ったのかしら。雄雄しい神殿騎士の制服姿で？
全然似合わないけど……笑っちゃ駄目よね。うん。
「開けても良い？」
「もちろん」
リボンをするりと
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