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逆さの砂時計
解かれる結び目 2
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 でもね。
 毎日毎日、同じ場所でひたすら祈りを捧げて。
 たまに下される指示を皆に伝え、広めて。
 私達の一族って、それだけの為に生きてるのかなあ?
 なんて考えると、結構寂しくなったりもするのよ。
 それ以外の道を、貴方達は許してくれないでしょう?

「神にだってお休みしたい時があるの。緊張しかないのは苦痛だわ」
「仕方がないさ。誰も君にはなれないし、君の代わりもできないんだから。はい、これ」
「何?」
「約束を破ったお詫び、かな?」
「まあ! 最初から約束を破るつもりで来ていたの? ますます意地悪ね」

 手渡されたのは、片手に乗る大きさの四角っぽい……小包? 小箱?
 白い包装紙で全体を覆ってるから、何が入っているのか分からないけど。
 蝶々型に結び付けられた薄紅色のリボンが可愛らしい。

 まさかこれ、エルンストが自分で結ったのかしら。
 雄雄しい神殿騎士の制服姿で、薄紅色の可愛らしいリボンを、蝶々型に?
 全然似合わないけど、笑っちゃダメよね。うん。

「開けても良い?」
「もちろん」

 光沢が美しい、ツルツルと気持ち良い手触りのリボンをするりと解いて。
 ちょっとざらつく包装紙を丁寧に取り去る。
 宝箱をそのまま小さくしたような形の小箱に入っていたのは……
 広げた片翼を模した、銀製のブローチ?
 この、付け根の部分にはめ込まれてる、薄い水色の丸い宝石って。
 もしかして、私の虹彩と同じ色? お揃い?

「素敵! すっごく綺麗だわ!」
「手作りだから不格好だけど、これで赦してくれるかな?」

 手作り!? 全然そんな風には見えない!
 職人が手掛けた作品と比べても遜色(そんしょく)ない仕上がりだわ。
 というか、やっぱりエルンストが選んで結んだのね、薄紅色のリボン。

「手作りなら、おつりが必要なくらいよ! ありがとう、エルンスト!」

 羽毛の柔らかさを表現する彫りの一線一線に(こま)やかなこだわりを感じる。
 私の手で握って包み込める小ささなのに、なんて繊細なの?
 こんな器用さがエルンストにあるなんて、知らなかった。

 直接手に取ると、ちょっと重い。
 でも、ひんやりした感触が気持ち良い。

 何かのついでに作ったのかしら。
 それとも、私の為にわざわざ作ってくれたのかな?
 だとしたら、すごく嬉しい。
 神々への(みつ)ぎ物なら、結果として分けてくれる場合もあるけど。
 私自身が贈り物を貰うなんて、ずいぶん久しぶりだもの。

「……おつりをくれるなら、少し上を向いて?」

 上?
 何かあるのかしら……って……

 え。

「……っえぇえ!? い、いま、何して……っ!?」

 エルンストの唇が

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