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逆さの砂時計
解かれる結び目
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倒臭ぇ!! 考えるのはクロスツェルの役目だろうが、あの似非神父!! なんでもかんでも都合の良いように押し付けやがって!!」
 突然叫び出す俺にキョトンとするフィレス。
 そもそもお前らがくどい言い回しをするから悪い!
 「協力!? 知るか!! 俺はロザリアを取り戻せれば他の事なんざどうでもいいんだよ! アリアに会う為に必要なら幾らでも共闘してやる! だが、要点をぼかして誤魔化そうとするな! きっぱりはっきりすっきり一言で答えろ!」
 「はぁ」
 「まずアンタ! 人間上がりの女神だってのは解った。この足を縛ってるのは何だ!」
 フィレスは指先で頬を()いて、うーん……と唸る。
 「何だと言われても……言葉、ですが。アーレストさんやエルフの長様によれば、言霊という物らしいですよ。それが私の力なんだそうです」
 「よし! 解らんが次! お前とレゾネクトはどうしてこっちの世界に居るんだ、聖天女!」
 リースリンデを手のひらに乗せて頭を撫でてるマリアに目線だけ送れば、私? と首を傾げる。
 「私はレゾネクトから逃げて来たのよ。レゾネクトは……なんて、本当は私達がどうとかじゃないのよね? 良いわ。教えてあげる。絶対にアリアを見捨てないと約束するならね」
 「アリアは知らん。用があるのはロザリアだ」
 「……どちらも同じだと思うけど」
 「ドコがだ。一緒にするな!」
 「此処まで追い掛けて来るのだから、薄々気付いているのでしょうに」
 苦笑いを浮かべたマリアが俺の前に立つ。精一杯足と腕を伸ばして……おい、こら。何をするつもりだこの子供。
 「不思議ね。レゾネクトと同じ悪魔なのに、貴方は恐くないわ。アルフの親友だから、かしら」
 「はあ? 親友? ざけんな。アルフリードは元餌だ。元。餌。」
 届かないと思ったのか、一旦両腕を下ろして姿勢を低くし……勢いを付けて俺の首めがけて飛び跳ねる。動けねぇが重さは感じるんだぞ! くそガキ!
 「……貴方の頭の中に空間を作り、私の記憶を映し出します。アリアを……ロザリアでも良いわ。彼女を……」
 首にしがみ付いたマリアの顔が迫る。
 俺に幼女趣味は無ぇぞ、こら。
 「私の娘を助けて」
 「!」
 思わず開いた唇に小さな唇が触れる。真っ直ぐ俺を覗く薄い水色の瞳に映り込んだ光が、微かに揺れた。
 「……もう大丈夫です、フィレス様。ベゼドラを解放してください」
 腕を解いて着地するマリアに、フィレスは瞬きで応える。
 「害意無き者に 自由を」
 意識を失った俺の体がぐらりと傾いて花の上に倒れた。
 ちくしょう……状況に振り回されてるのが腹立つな。


 頭の中にたくさんの画像が渦を巻いて流れて行く。その中に、見覚えある顔の見慣れない表情が無数。

 あぁ……お前、マリアには
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