暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
再会
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髪が……濡れてる?
 真っ白な長衣ごと全身に大量の水を掛けたような姿で、ぴくりとも動かない誰かを抱き締めている。
 彼は……ああ。アリアの力が護っていた人。結晶である私を所持してくれていた人だ。
 だけど、アリアの腕の中の彼は……。
 「あと少しだ」
 「……っ」
 レゾネクトの瞳が遠くを見つめる。この世界でもない、元居た世界でもない。遥か遠くを。
 「あと少しでアリアは世界を手に入れる。俺との契約も果たされる」
 契約? アリアとレゾネクトが、契約を交わしてる?
 「……何を、するつもりなの……? アリアをどうしようとしているの!?」
 嫌な予感がする。接触があっただけでも恐ろしいというのに……アリアは、この闇に何を願ってしまった!?
 「お前はただ見守っていれば良い。俺が見せてやろう。お前が無意味だと言った行動の結果を」
 「レゾ……ッ う くっ……」
 ゆるゆると続いていた内側を擦る動きが、いきなり乱暴になった。私の言葉なんて求めてないとでも言いたげに、喉を潰すほど強く深く奥を突いてくる。
 「やめ! レゾ、お願……、い やめて! ア リア…は…ッ!!」
 頭の中はまだ草原を映してる。生気を失った男性の頬を手で擦りながら、アリアは泣いている。
 肩を震わせ、声を押し殺して。涙をぽろぽろと溢して。唇を噛んで、泣いている。
 「アリ ア……」
 誰か……。誰か、アリアを助けて。
 彼女をレゾネクトから護って。
 これ以上、アリアを悲しませないで。お願い……!
 「お前は此処で全てを見ていれば良い。今度こそ見届けろ……空間を司る女神マリア」


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