4部分:第四章
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第四章
「御願いします」
「どうか」
「はいよっ」
受け取ってすぐでした。その半分半分を切り目で合わせるともう。それで子供は下に戻ったのでした。本当にあっと言う間のことでした。
「どうだい、これで」
「本当にすぐでしたね」
「だから言ってるじゃないか」
おかしそうに笑って王様に答えます。
「あたしは嘘はつかないってね」
「確かにそうですね」
「あとこの子供だけれどね」
そのくっついた子供の話に移りました。
「あたしがこうやってくっつけたんだ。凄い子になるよ」
「凄い子にですか」
「そうだよ。絶対にね」
これは保障するのでした。女神様であるジャラーが。それだけに今の言葉はかなり説得力のあるものでもありました。
「凄い王様になるだろうね」
「そんなにですか」
「そうだよ、安心していいよ」
太鼓判さえ押してみせます。
「女神様の言葉だからね」
そしてさらに。言葉を続けるのでした。
「それと。後は」
「後は?」
「名前つけてないだろ」
ふとかなり初歩的なことを話してきました。
「もしかしなくても」
「あっ、そういえば」
「ついつい子供に夢中で」
「それで」
王様も御后様達もそのことに気付くのでした。ふと立ち止まってみるとその通りだったのです。これは迂闊と言えば迂闊なことでした。
「やれやれ。困った親御さん達だねえ」
「元はといえばジャラー様のせいではないんですか?」
「まあそれはいいとしてだよ」
さりげなくそれは誤魔化すジャラーでした。
「名前だよね。考えてないだろ」
「お蔭様で」
今の王様の言葉には少しだけ嫌味が入っていました。といっても嫌味の一つや二つでいちいちへこたれたり気にしたりするジャラーではないですけれど。
「じゃああたしが付けてあげるよ」
「ジャラー様がですか」
「神様が名付けてあげるんだよ。いいだろ」
「まあそれは」
それにはまあいいとする王様なのでした。
「宜しければ御願いします。どうにも名前が思いつかなくて」
「そうかい。じゃあ丁度いいね」
「それで一体どんな名前に?」
「あたしがくっつけたからね」
楽しそうな笑みはそのままでの言葉でした。
「そうだね。ここはジャラーサンダでどうだい?」
「ジャラーサンダですか」
「これならいいだろ」
ジャラーが結び付けてできた者という意味です。彼女のおかげで生まれて尚且つ分かれていたのが一つになったのですから。これは道理のある名付け方でした。
「どうだい?」
「じゃあまあそれで」
王様はそれでいいとしたのでした。
「御願いします」
「あんた達はどうだい?」
ジャラーは今度は御后様達に尋ねました。
「それで。いいかい?」
「そうですね。私達も」
「別に」
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