第十一幕その七
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「モビーディッグさんに海に戻ってもらう為には」
「川に一月もいて探す位欲しいのならね」
カルロスも言いました。
「それならね」
「確かに海の生きものが川にいるのはよくないけれど」
ナターシャも同じ意見でした。
「モビーディッグさんには海に気持ちよく帰ってもらいたいから」
「このまま帰ってもらうよりは」
恵梨香が最後に言いました。
「七色の真珠を手に入れてもらいましょう」
「そうだね、確かにモビーディッグ君は困ったことを引き起こしているけれど」
魔法使いは青龍の背中の上で腕を組んで考えるお顔になっています。
「悪気はないし。今回はね」
「七色の真珠を手に入れてもらって」
ケーキはずっとモビーディッグを見ています。
「帰ってもらいましょう」
「そういうことだね、それならね」
またカエルマンが言いました。
「僕も協力させてもらうよ」
「君が?」
「僕は見ての通り蛙だよ」
その蛙が大きくなって人間の様に動いているのがカエルマンです。このことをモビーディッグにもお話したのです。
「だから川のこともね」
「何でもわかるんだ」
「海は君、川や湖は僕だよ」
こうも言ったのでした。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう、今からね」
行こうと言ってです、そのうえで。
カエルマンは皆に顔を向けて言いました。
「今から川の中に入って来るよ
「そうしてですね」
「僕も探すよ」
神宝にもお話するのでした。
「七色の真珠をね」
「そうされますか」
「うん、今からね」
こうです、カエルマンは神宝に答えてでした。
すぐに川の中に飛び込みました、そのうえでモビーディッグに声をかけました。
「じゃあ僕もね」
「真珠を探すことに協力してくれるんだ」
「そうさせてもらうよ」
「有り難う、ただね」
お水の中で、です。モビーディッグはカエルマンにこうも言いました。
「僕が一月探しても見付からないんだよ」
「それは当然だよ」
「当然って?」
「だから君は海の生きものだからね」
「川の中にいたら」
「海の中にいる時よりもね」
その目がというのです。
「働かないんだ」
「そうだったんだ」
「あとお鼻やお肌の感覚もね」
そのどちらもというのです。
「落ちるからね」
「だから一月探してもなんだ」
「僕は見付けられなかったんだ」
「そうだったんだよ、けれどね」
「君ならだね」
「少なくとも川の中では君より感覚がね」
目やお鼻、そうした感覚がというのです。
「はっきりとしているからね」
「見付けられるんだ」
「そうする為に来たんだ」
「じゃあお願いするよ」
「真珠の匂いは知ってるよ」
カエルマンはこのことからもお話するのでした。
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