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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十四話  走為上
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いようだ。

「閣下」
「何かな、総参謀長」
「問題は我々の後を追ってくる帝国軍です。このまま後を追ってきてくれれば良いのですが……」
ビュコック司令長官が顔を顰めた。

「そうだな、連中がハイネセンを目指すようだと……、残念だが我らには手の打ちようがない」
「出来るだけ早く帝国軍を撃破してハイネセンに戻り、ハイネセン攻略を防ぐ。……やはり決戦場はジャムシードがベストです。シヴァではハイネセンから遠くケリムでは後ろの帝国軍が我々を追って来た場合イゼルローン方面の敵との合流を許してしまいかねない」
「そうだな、ヤン提督もその辺りは理解しているとは思うが……」

お互い口調が重い。改めて状況は厳しいと思わざるを得ない。ボロディン本部長が気付いていないとは思えない。だが何も言わなかった。徒に不安材料を並べても仕方ないと思ったか。或いは先ずは目の前の帝国軍を撃破する事に集中すべきだと思ったか……。四月は残酷な月か、確かにそうだな、この四月に同盟の運命が決まるだろう。



宇宙暦 799年 3月 13日    ハイネセン ある少年の日記



信じられない事が起きてしまった。イゼルローン要塞が、あのイゼルローン要塞が帝国軍に取られてしまったんだ。帝国軍が攻めて来たって大したこと無いと思っていた。イゼルローン要塞に二個艦隊、フェザーンに五個艦隊、十分帝国軍に対抗出来る筈だった。実際昨日までは何の問題も無かったのに……。

エーリッヒ・ヴァレンシュタイン、悪魔のような奴だ。まさか要塞をイゼルローン回廊まで持って来るなんて……。あっという間に防衛線は突破され帝国軍の大軍が同盟領に侵攻している。地方の有人惑星は大混乱だ。無防備都市宣言を出すって言ってるけど大丈夫かな。帝国軍が見逃してくれるんだろうか?

不安な事ばかりだ、母さんも酷く怖がっている。学校でも皆不安がっている。校長先生が校内放送で落ち着いて勉強するようにと言ってたけど無理だよ。同盟が滅ぶかもしれないんだ。そうなったら僕達はどうなるんだろう? 奴隷扱いされるのかな?

唯一の希望は宇宙艦隊がそれほど損害を受けていない事だ。イゼルローン方面の艦隊、フェザーンで戦っていた艦隊は今ハイネセンを守るために大急ぎで戻ろうとしている。何とか無事に戻って僕達を守って欲しいよ。アルテミスの首飾りが有るから大丈夫だと思うけど相手はあのヴァレンシュタインなんだ。何を仕出かすか分からない。イゼルローン要塞だってあいつの前では無力だったんだから……。



宇宙暦 799年 4月 2日    ハイネセン ある少年の日記



やったよ、帝国軍の進撃が止まった。ヤン提督が帝国軍を後ろから牽制したらしい。シヴァ星域まで来ていた帝国軍は進撃を止めて様子を見ている。前後から挟み撃
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